明治村 正月


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■明治村 正月


【呉服座(くれはざ)】
明治25年に建てられた、伝統的な江戸の芝居小屋です。大阪の池田市にあり、昭和46年にここに移築されました。
建物も立派ですが、門松もたいそう立派な物が建っています。
門松のこの形は江戸時代になってから整ったもので、明治村では先端を削った竹を三本立てて松を添え、根元を土で固めて藁を巻いてあります。
門松だけでも、葉牡丹、海老で飾り立てるなど、さまざまなバリエーションを全国で見ることができるようです。
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正月の明治村は、そう人が多くありません。
思えば、昔 街はこんな感じでした。
商店は休みで外は静か、内では家族が集まり、賑やかなものでした。

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静かなこの村ですが、静かなりに正月ムードで溢れていて、たいへん素敵です。
例えば、東松家住宅です。
明治43年建築、名古屋にある商家です。江戸時代は武家意外は、3階建ては許可されませんでした。
この家は、正面まで壁が3階まで直立している、ある意味 ビルの先駆的建物だそうです。

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お正月飾りは、尾張の古い形式の注連縄です。
「…門松の如きは家みな競いて枝葉の付きたるままの大いなる竹を植つれば門前あたかも竹藪の観あり…」 家の間口は狭く、奥に細長い造りです。
一番奥に庭があり、そこを眺めるように居間があります。
尾張のお正月料理がお膳に盛られていて、床の間には鏡餅とお花が活けて有り、“清く正しい”正月ムードが漂います。
素直に、日本人たるもの、こんな場所で、こんな正月を迎えたいと思わせてくれます。

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芝川又右エ門邸です。大阪の商売人で西宮市甲東園の別荘だったそうです。
日本における郊外型の住宅の先駆けで、
日本の数寄屋造りと欧州のグラスゴー派・ゼツェッション派の融合させた和洋折衷の洋館です。

阪神淡路大震災で被害を受け、平成19年にこの明治村へ移築されました。
こういう経緯で、この村に移築されたケースも珍しいのではないでしょうか。

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階段は洋風ですが、天井は葦簀を市松デザインをほどこし、なかなかオシャレです。
電飾も電球が丸くて大きいし、これまた大胆な造り。

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正月飾りは関西風でしょうか。
床の間に関西らしいシンプルな鏡餅と米俵?の飾り、シラサギにでも見立てたのか、長〜い目出度い飾りが目を引きます。








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森鴎外・夏目漱石住宅です。
明治20年の建坪39坪のごくありふれた建物です。
夏目漱石が、「吾輩は猫である」を執筆したのは、この書斎だそうで、建物だけでなく、書棚など当時のものがそのまま残されています。

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正面玄関の奥に左側に猫の出入口があり、それがまた現実味を感じさせてくれます。
玄関の飾りもシンプルで、竹と松を門松に、注連縄は関東風でしょうか?
これはこれで、なかなかシンプルで良いものです。





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三重県庁、明治12年建設、間口が54mにも及ぶ大きな建物で、玄関を軸に左右対称になり、正面側にベランダが廻らされています。
基檀、基礎、円柱、エンエンタブレチュアの構成は古代ギリシャ・ローマの神殿に由来するものだそうです。

堂々たる建物で、よくこんな大きなものを移設できたな〜と感心すると同時に、三重の建築士が西洋建築を見よう見まねで作ったご苦労が、あちこちで発見できます。

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しめ縄の縄は、2匹の蛇が絡み合っている形のようですが、これだけ立派だと、なるほどそう見えます。




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宇治山田郵便局(明治42年建設:重要文化財)は三重の宇治山田にありました。
典型的な三重の注連縄です。

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伊勢で破風上なものや邪悪なものから家を守るため、注連飾りを一年中かけておく週刊があるそうです。
この中心には「蘇民将来子孫家門」や「笑門」という門府を掲げるそうだ。
この明治村では、「千客万来」を飾っております。








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京都中井酒造、明治3年建設、軒が低く屋根に緩やかなカーブを持たせる「むくり屋根」は京都伝統の姿。
関西の門松はシンプルで、玄関の左右に、「根曳の松」が好まれ、根の付いた松を半紙で包んで、柱に打ち付けます。
根は、“根を張り成長していく”縁起ものだそうです。

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私は尾張に住んでいて、毎朝 家から駅まで歩いている途中にこの門松を飾っている家を知っています。
ここの人は関西出身だったんだなぁと急に親近感が湧いたり、まだまだ私も関西人なんだと再認識したりして。






注連縄や正月飾りからも、地方地方独特の文化があります。
なかなか地方文化というのは面白い。
普通の街を歩いているだけでは、その違いには気が付かない。
こうやって、一つ所で、いろんな形を観ることができるこの村はやはりおもしろいな〜と思うのです。

「根曳きの松」などは、良い事例ですが、縁起物には、その文化の歴史と特徴が分かりやすく表れます。
物事には、“意味がある”。長い時間をかけて守られてきたものです。
良き伝統は、これからも大事にしていきたいものだと、改めて思うのでした。
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平成25年1月12日<記> 6月29日<改> 出典:明治村のパンフレット/ガイド



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