天子山地 竜ヶ岳 〜初めての富士山周辺の山

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仲間との山歩き。富士山を眺める天子山地 竜ヶ岳を歩く。
富士吉田から西富士道路を北上、東側に富士山を眺めなら走る。この裾野の広さはやはり壮大。
本栖湖キャップ場に2台の車を停めて、歩き始める。
麓は既に晩秋、本栖湖の自然林は紅葉と黄葉が終盤。
ウリハダカエデ、イロハモミジ、山道は草本や樹木が太陽を求めて覆いかぶさる。
樹林帯に入ると高木は落葉し、目につくのはクロモジやコハウチワカエデなど半日陰を好む小高木樹木。
特に黄色の大木や小高木は、高い確率でクロモジ。
M嬢が「なにかいい香りがする」というので、この辺りを見回して、クロモジと思われる落ち葉を拾ってちぎって匂ったもらうと「この匂い」だと。
そうか、カツラやタカノツメは落ち葉が占めるとこの香りがすることはしっていたが、クロモジもそうか。
「晩秋の香り」とかってになずけているこのマルトールの香りリストに加えよう。
秋の香りを楽しむ“大人の秋”、実に秋らしい。

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樹林帯を抜けるとササが優勢となり、逆に展望が開ける。
残念ながら富士山は見えないが(写真右を外れたことろにある)、裾野に広がる青木ヶ原樹海、小室山など雄大な景色が広がる。
だれもが立ち止まりその景観に見とれる。
写真では納まりきれないこの広さと奥行き・・・山頂が見えないと「アフリカの大地の様だ」と言わしめるほど。

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歩いている竜ヶ岳は富士山の真西にあり、そこから南側に続く天子山地の北端にあたる。
地質図をみると竜ヶ岳(真ん中下)や天子山地は緑色で、これは海底火山から噴出した玄武岩
北側にある御坂山地、その北西にある櫛形山地も海洋性の玄武岩山地。
実はこの辺りの山地は、フィリピン海プレートの北西方向への動きに乗ってきて900万年前辺りに日本の衝突、隆起した山々。
富士の新しい活火山で100万年前から活動が始まり、三段階の噴火で現在の形になった。安山岩という粘度の高いマグマなので優美な裾野を形成している。
100万年前と言えば伊豆バーが衝突したころなので、それと富士山が活動を開始したのにはなにか関係があるのか!?
富士5湖も富士山のなんどかの噴火で湖が堰き止めれば、本栖湖は4500年前の溶岩で「せの海」という大きな湖が分断されて出来たらしい。
年代は百万年前から数千年前までと実に幅広い・・・眺める景色にはそんな自然史がある。

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自然林を抜けると、笹原が広がる。
高い樹木がないので、展望が抜群。東側に富士山があるので、ダイヤモンド富士のチャンスもある。
昔は笹原でヤブ漕ぎがひどく、まともな登山道はなかったらしいが、整備されて富士山を眺めることができる大人気のコースとなった。
さて、なぜここに笹原があるのか・・・風が強いのか、昔は萱場だったとか牧場だったこか人の手が入って場所だったか?

もう一つの疑問は、シロヤシオとヒメシャラが目立つ、特にヒメシャラは美幹なのでこの季節は目につく。
箱根以西に自生するツバキ科の落葉広葉樹、芦ノ湖にもヒメシャラの純林がある。
土壌は、腐植質が多く湿り気のある土を好むらしい。しかし、ここは玄武岩で樹木はそう多くもなく肥沃な土地とは思えないが・・・霧が多いらしいので湿気はあるだろう
なぜなぜと疑問が湧くが、それもまた楽し。

初めての富士山周辺の山歩、地形の成立ちとその景観、土壌・植生と多くの初体験があった。この辺りの知らない世界をまだまだ楽しみたい。


2024年11月16日[登山日] 11月17日[記]

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