高見山2025 〜高見ブルーと霧氷
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高見山1,248m、紀伊半島の台高山脈の盟主、西側からの姿が「近畿のマッターホルン」と呼ばれる。高校時代より何度も歩き、裏山を除いて、なんだかんだで一番登頂数の多い山。
なにより「霧氷」が有名。標高が周囲に比べて高く、独立峰然としているので、冬の寒風が吹くと、枝に霧氷の花が咲く。温暖化で年々雪も少なくなり、それを見る機会が減っていると思われる中、この日は実に良かった。
登山口は、杉谷から伊勢南街道をたどる。
江戸時代は参勤交代で紀州藩が使ったそうだ。石畳が数百年前を語る。入口には山の神があり、登山の安全と霧氷が残っていることを祈りながら歩き始める。
途上で地元のおじさんと会話、「地元の方ですか、霧氷狙いですか」「霧氷というより、運動の為だね」「1時間寝坊しちゃって、まだありますかね?」「そうね、ちょっと遅いど、きっと大丈夫」
そんな会話に、背中を押されて歩く。
小峠を過ぎると雪が出始め、平野からの登山道に合流すると高見山の主稜線に出る。
下ってきた山男からは、「今日は絶景ですよ!」と明るく言われて、またまた背中を押された。
1,000mを超える辺りだろうか、霧氷があった。快晴下の白や透明な霧氷、本当に美しい。
同じペースで歩くお姉さんと「キレイですよね」「そうですね」と感動を共感する。
「写真ばかり撮っていると先に進めないですよ、太陽で山頂の霧氷がとけちゃくかもしれないので、ジレンマです」「その通り」(笑)
そして、下ってきたお姉さまにも、
「今日は最高の登山日和ですね〜山頂にはモンスターがいるわよ」
霧氷は勿論 美しいが、モンスターということは樹氷か巨大なエビの尻尾のことだな・・・山頂への足取りが早まる。
冬靴と10本アイゼンで急坂を登るのは安全で良いのだが、久方の山歩きには少々堪える。
急ぎ足になると筋肉が軽く痙攣するので、深呼吸してゆっくり歩くことにする。
空を見上げれば、「青い」・・・これを「高見ブルー」と呼ぶらしい。
今日はそう呼ぶにふさわしい。
多くの人と会話した。感動は分かち合わねば。
台湾人ペアは感動していた。
小さな女の子が大きな雪だるまを抱えて登ってきていた「なんでそんな雪を抱えているの?」「大事な雪だるまなので山頂まで持ってくの」
こんな急坂を両手に余る雪の塊を抱えて、山頂で写真でも撮るのか、それともこんな大量の雪を初めてみたので感動して大事に抱えておきたいのか
そんないろんな方との会話もあって実に楽しい。
山頂付近から振り返ると、歩いてきた尾根が見える。
霧氷尾根と名付けよう、白い稜線が続いている。とても良い。
ただ、標高1,000mから下には雪がない、そのギャップがまた良い。
ここは紀伊半島のど真ん中、麓は暖温帯だが、標高が1000mを超えてくると冷温帯に以上になる。積雪もその辺りが分かれ目か。
そして、朝が寒いと、周辺の空気の中の水分が樹木に氷となり付着して霧氷となり、濃い青空の下で透明に白く輝く。
登山口付近で追い越した地元のおじさんだが登ってきている。
「お疲れ様です〜まだ霧氷がありますよ!」
「そうだね、キレイだね。(あなたも)1時間寝坊したが、見ることが出来て良かった」とニヤリ。
こんなすばらしい自然の造形美と高見ブルーとおじさんとの楽しい会話が出来る幸せ。
2025年1月18日[登山日] 1月19日[記]
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