霊仙山 【1,084m】〜山の会
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2022年GW、所属する山の会にて、霊仙山を歩く。
登山ルートは今畑登山口から、笹峠を経て南西稜に取り付き、近江展望台から稜線を歩いて、最高点へ。
霊仙山三角点など山頂エリアを歩いて、お虎ヶ池を通過、汗ふき峠を経由して落合集落へ下るという反時計回りのグルリンパコース。
石灰岩地帯を歩くので、地形図を使って地形を主な記録ポイントにしてみる。
車は落合集落に止め、今畑集落から登り始め。急坂を10分ほどにある今は廃村。(A地点)
この辺りは廃村が多い。廃村、悲しい響き。
炭焼きや林業を主産業としていたが、エネルギー革命により燃料としての木材の需要が減少して生計が成り立たなくなり、人口が流失して村が消滅する。
そんな村の一つである今畑の集落を登山道が通っている。最盛期には30戸もあったそうだ。
お寺の横にある土蔵ととホオノキ、村は谷に向かって急斜面に石垣を組んでいて、廃屋が散在、ホオノキが目立った。
春から初夏、フクジュソウ、クリンソウ、エビネなど春植物が咲き誇る。
人がいなくなった村とにぎやかに咲き誇る花々の対比はなにやら寂しい。
廃村を過ぎると尾根筋を歩く。
スギなどの植林地帯と広葉樹の森をジグザク、
植林も今畑の人々が植えたのだろうか・・・視界は開けない。
小一時間で笹峠(B地点)、石灰岩地帯に突入して、白い石が目立ち始める。
笹峠は東側が緩やかな谷、西側(今畑、落合集落側)は急斜面。
地質図を見ると、石灰岩地帯が東側、西側は玄武岩質の火山岩の違いか、そんな視点で峠を見るとまた(マニアック)で楽しい。
標高は冷温帯に入り、ゆるやかな斜面となりブナ林が現れる。石灰岩にもブナは生きていけるんだな。
どこでも、ゆるやかな斜面がすきなやつだ(笑)
下層には、イチリンソウ・ウラシマソウ(群落がある)・エビネ等、傾斜も緩やかで爽快な尾根の森歩きが続く。
ここからは石灰岩地帯が続く。
植生もほとんどなくなり、南西尾根の急斜面(C地点)をひたすら歩く。
風雨に晒された石灰がカレンフェルトを形成して、石の間を縫って喘ぎ喘ぎの道となる。
途中から見下ろせば、笹峠辺りの新緑が美しい。
あそこが上りの最後の森歩きであったことに気づかされる。
地形図上は荒地の記号・・・そうかカレンフェルトという記号はなしか・・・
石の間にはスミレ、タンポポ、ヤマエンゴサクなど、こんな悪環境でも花咲く草木に驚く。
2年前の冬に歩いた。
一面の雪の斜面をひたらの登りで辛かったが、この先の絶景を楽しみに歩いたことを思い出す。
標高差300mを登り切って、標高1,000m近江展望台に到着。(D地点)
近江側はもちろん、南東側(鈴鹿山脈)と北側の展望が開ける。
北側は稜線沿い2km先までカルスト台地がず〜〜と霊仙山最高点まで見渡せて爽快。
等高線の密度もあまりなく、山頂まではもう高低差はあまりない。
稜線北西側には灌木があり、調べてみると「メギ」だった。関東以西に山地に自生するメギ科の落葉低木。
葉っぱがヘラ型で付け根に刺がある。この稜線で冬の風雪に耐えて北西側だけに自生している。
日本海からの風を避けるのなら、南東側が良かろうに・・・なぜこちら側なのか
稜線歩きの右側(南側)は鈴鹿山地が広がる。(E地点)
足下には、スミレ、ネコメノソウ、ミヤママンネングサ?が健気に咲き乱れ、花の稜線と呼ばれるらしい。
霊仙山は鈴鹿の北の外れで独立峰然としていて、新緑の山々を目で追っていくと一番奥に御池岳、その左に藤原岳が確認できる。
どちらも石灰岩の山なので山頂部はカルスト地形で遠目でみるとトゲトゲした山頂でないどっしりとして山に見える。
そんな推測の下、「真正面が御池岳かな」としゃべっていたら、スマホで山座同定していた仲間に「当たり!」と言われた。
ちょっとだけ鼻が高くなる(笑)
2kmほど歩くと、最高点への最後のゆるやかな上り。
右側は切れ落ちた断崖絶壁・・・右側は玄武岩ブロックで山地の隆起と共に崩れたに違いない。
急な崖には理由がある、経験上は地質の違いが多い。こんなことが実に興味深い。
このマニアックな楽しさを一人で楽しむ(笑)
山頂で記念撮影した後、西側にカルスト大地の縁を左に回ると、大きな凹地を眺めることが出来る。
凹地といいうより、大きな緩やかな浅い谷か。谷底には池は小さな窪地。
ドリーネ、溶食凹地(ようしょくおうち)が別名。ドリーネの典型例が「お虎ヶ池(と霊仙神社)」で有名な池となっている。
雨水が石灰を溶かして、窪地を作り、底から地下に染み出して、その下には鍾乳洞が出来る・・・典型的なカルスト地形だな・・・どんどん溶けて凸地も大きくになる・・・と
一人呟くと、仲間から「本当ですか? どこまで信じて良いのやら」と普段の信用度の無さが露呈する。
それにしても、見事なカレフェント、ドリーネ、ドリーネが繋がるとウバーレというらしい。
その曲線美が美しい。その向こう側には歩いてきた近江展望台から稜線を見渡せる。
さらにその向こうには琵琶湖が広がる絶景。なんて、美しい風景。ああ、これを見ることが出来る幸せ。
下りはまたカススト大地(H地点)を降りて、玄武岩系ブロックへ戻る。 途中にはブナ林(I地点)ヤマシャクヤクの自生地、植林の谷に下りて丸太橋(J地点)を渡れは出発地の落合集落。
2022年5月3日[登山] 5月4日[記]
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