熊野 大蛇峰

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厳冬期は安全な雪山か暖温地のお山か迷う。今回は熊野の大蛇峰へ。紀勢自動車道が熊野まで開通していて、以前に比べればアクセスしやすくなった。尾張から210km、車で3時間。
山頂付近は眺めが良くて、熊野灘や七里御浜がキラキラと輝いていた。

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花崗岩の山塊
この辺りは熊野灘に沿って花崗岩の山塊で、急峻な山が多い。よって暑い夏場を避けて、冬に歩く。ヤマレコの記録を見ても1月が一番登山者が多い。
紀北町にある「姫越山」も今まで2回歩いたが、季節はやはり冬に歩いた。
夏場で紀伊の山を歩くのは暑いだろろう、冬に歩くのが正解かもしれない。
自然史も興味深く、1400万年〜1500万年前にこのエリアは火山帯だった。その為、花崗岩(花崗斑岩)の山塊。そこかしこ、登山道にも大きな岩がゴロゴロしていた。
山頂近くには大きな一枚岩があって、そこからの眺めは最高。熊野灘と太平洋が一望できる。
ただ海の先には南海トラフがあって、ここが沈み込みによる火山帯だったわけで、いつか確実に起きる地震で甚大は被害がこの地にあることを思えば、ちょっと複雑な心境になるが・・・

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ロスト
上り始めは川沿いの植林地帯を歩くが、ほどなく渓流に合流する。全体を通じて岩が多い。
あちこちに岩壁があるし、渓流沿いは岩がゴロゴロ、時にはこのような大きな一枚岩がある。
奥に川が流れて入れ、谷に流れ込んだ岩があり、手前の平面は「岩」。
この谷に大きな岩、びっくりした。
この後に、このレベルの岩をあちこちで見ることになり、花崗岩で出来ている山であることを実感したアプローチとなる。
道をロストした。小さな谷に間違って入り込んでしまった。ヤマドリにも遭遇してビビる。
ヤマレコを確認して、現在位置を確認、ヤブ漕ぎをして正しいルートに戻る。
登山道はしっかりと整備されているが、落ち葉や人がス来ないのか、たまにルートファインディンが難しくなる。
今回は3度、道をロストした。登山アプリに助けられた。

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尾根道は急登
尾根道か渓流沿いかの分岐で尾根道を選択。
なかなかの傾斜が1時間以上続く。
標高差400m、水平距離が800mとすると斜面距離は約900m
・・・角度は26度!
こうやって数字を出すとなかななの斜面となる。
現実はジグザクになっているので、まだましだが、見た目がこの角度なので、やや萎える。
が、今日は天気が良い事、冬なので暑くないこと、植生が暖温帯なので調べながら立ち止まりつつ歩く。
幸い昨晩は十分に睡眠をとっているせいか、元気なのもよい。

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ブナ科コナラ属ウバメガシ
植生は暖温帯で海が近いということで普段と違う植生が見れて楽しい。
予想通り「ウバメガシ」がたくさんあった。紀州名物という印象、備長炭の元になることで有名。
株立ちして独特の樹皮をしているのですぐに見分けがつく。
一本だけ大きな岩にかぶさるような巨木があった。葉っぱをみるとウバメガシと思われる。
どういう経緯でこうなったのか!? 
花崗岩の岩の上にドングリが落ちて芽生え、根っこが下に伸びて岩をかかえるようになったか、上部は一塊となり一定の高さから株立ちが始まるが、幹が細い。
実に特異な形状をしている。
実に印象的な景観、自然の樹木の生き様を考えさせてくれる。

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山頂でも一人
約2時間で山頂に到着、ここまでの尾根道はなかなかでしんどい、誰にも会わなかった。
山頂はすこし南側が開けている。花崗岩が露出していて、座る場所には困らない。
お湯をわかして、アルファ米の五目御飯を食べる。
日当たり場所はぽかぽかしてとても厳冬期とは思えない。たまたま今日は平地で17度まで上がった暖かい日であった。
なにせ、一人なので寂しい。
FineTrackのミドルレイヤーを試していたが、なかなか良い感じ。
今日なら、日陰ではやや寒いがこれを着ていると暴風と防寒はこれで十分。登山用のジャケットの進化、化学繊維の進化を体感できた。
寂しいので、まったり時間はそこそこに下山を開始する。

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コルまでの劇下り
下りは渓谷ルートを選択するが、コルまでは痩せ尾根を下る。
これが登り以上に劇下り。ところどころに補助ロープがあるが、足元に花崗岩による段差があったりして、着地の足場も不安定。
気を抜くと、足首をひねって捻挫しそう。なんどか危ない場面があった。
なにせ誰にも会わないので、こんな処で動けなくなったら、助けてくれる人は誰も居ない。
登山届はだしているし、アプリで現在地の情報の発信は出来るので万が一の対策があるが、その前に怪我をしたくない。

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久々のブナ科コナラ属アカガシ
この劇下りの尾根沿にも特徴的な樹木があった。
尾根なので立派なアカマツやモミがある。ソヨゴも散見された。
小高木ではサカキやヒサカキ、アセビ、シキミが尾張同様にあった。
大きな樹木ではアカガシが印象的だった。結構、大きな個体が多くて、独特に樹皮でわかった。鱗状にはがれて橙色を帯びる。
なんの為に足元のドングリも拾う・・・アカガシだ。
暖温帯に自生するせいか、ホームがラウンドではあまり見ないので深山に自生する印象がある。
久々に出会えてうれしい。
この分かりやすい樹皮が好き。ちょっとマニアックになってきてるか(笑)

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おお〜これは凄い
コルからは谷沿いを下るが、前半は植林地帯であまり面白くない。
特徴的なのは植林地帯の中にも、大きな岩がゴロゴロしていること。本当にこのお山は花崗岩の山で割れて転がった石が点在している。
そこに植林をしているので、ちょっと変わった風景となる。
感動する景観、大きな樹木と大きな岩がぶつかり合っているように合体している。写真では伝わらないこの大迫力。
一見、巨木に巨石がぶつかっているように見えるが・・・冷静に考えればこの大きさ、5m程度はあるだろうか、これが落ちてきてぶつかれは樹木は折れるだろう。
つまり、巨石が先にあってそのあとこの木がこいう生え方をしたと考えるのが自然だろう。樹齢はさすがに百年はこえると予想する200か300年か、
植林は戦後だろうから、この樹木と岩が先にあったはず。林業関係者もさすがにこの木は切らずに残したいとうことか。
他の方の記録にはトチノキという記載があるが・・・ムクロジ科トチノキ属で冷温帯にある渓谷林の代表格だが・・・この地に自生するだろうか?
新緑の季節にぜひ訪問してその緑の風景とこの巨石を眺めてみたい。

その後は渓谷を歩く、水は谷を削り、花崗岩が露出して、それが崩れ岩と水の美しい渓谷が続く。ナメ床に水が流れ、素敵な渓谷。
最後まで誰にも会わない一人旅、なかなか記憶に残る素敵な山歩きだった。

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2026年1月17日[登山日]  1月18日[記]

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