能郷白山(のうごうはくさん)

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両白山地の盟主。1,617m。
2006年5月3日(木)晴れ。
加賀白山とこの山を結ぶ線が両白山地で、石川・福井と岐阜に横たわっています。
南側にこの山はあります。
豪雪地帯のこの地は暖冬の今年ですらまだ山頂付近は雪が相当残ります。
開山719年の歴史ある白山信仰と能・狂言の国指定重要無形民俗文化財が麓に残る。
5月は残雪も花も美しいBESTシーズンです。

能郷白山 登山ルート
美濃の最深部、根尾村から能郷谷の林道を遡った所に登山口がある。
登り口からいきなりの急登で、あえぎながら登ります。
稜線に出ると北西に山頂を見ながらの稜線登です。
前山と呼ばれる部分までくれば、あとはプロムナード気分で。
眼前に能郷白山を見ながらさわやかな歩きとなり、最後に急坂を乗り切れば山頂です。
能郷から能郷白山を望む
薄墨桜を過ぎた頃から遠くに能郷白山の山頂が顔を出します。
これだけ高い山(1617m)でありながら、山々の奥の奥に至って初めて顔を覗かせます。
新緑のこの季節に雪が残るこの山はやはり神々しい。
白山信仰が起こるものわかる気がします。
「日本百名山」の候補に荒島岳と争っただけのことはある。
登山口
登山口です。
根尾村の林道を入り河沿いのルートを数キロ北上した地点です。
今日は通れましたが、時々は荒れて不通になるときもあるらしい。
途中は山菜取りの方々がわんさかいっらしゃいました。 登山口には全部で10台程度の駐車が可能で、既に満タンでした。
一宮高校山岳部のテントも張ってあったりして、なかなか盛況です。
ミヤマキケマン
  近畿以北に分布する、早春から咲く多年草です。
登山口にありあざやかな黄色で鈴なりの小さな花が一際目立ちます。
黄色の目だった花はここ一箇所でした。
渓流を横切り
登山道からすぐ水量豊かな渓流を横切ります。
ここが最後の河で、帰りはここで顔を洗って靴を洗いました。
冷たい、雪融けの水です。
この奥地にもその上流にはまだ砂防ダムがあります。
風景を壊していますが、昔の豪雨で麓の能郷が被害にあったらしく、大規模な災害対策の一環のようです。
新緑が眩しい尾根道
すぐに傾斜のキツイ直登道に取り付きです。
山の奥深くまで入る林道からは、このパターンは結構ある。
新緑が眩しい。
登るだけなら苦しいこの道も、野花を探しながらゆっくり登ればなんてことはない。
チゴユリ
  チゴユリ、漢字で稚児百合、ユリ科。
カタクリやコシノコバイモといい下向きで小さくかわいい。
写真を撮るにも苦労します。
ミヤマキシミ
ミカン科、関東以西に分布。
葉っぱの上に小さな花の集合体がボンボリのように着いている姿が印象的。
葉っぱの感じから、石楠花の仲間かと思いました。
前山への登り
  約1500mの前山を目指す登山道。
笹原や低木の間を抜ける上りです。
あそこまで行けばあとは楽勝となります。
両脇には引き続き花が彩ります。
イワウチワ
  イワウチワ、葉っぱと鮮やかな白ピンク色。
ポトリと落ちるのがなにか意味ありげで興味深い。
イワウチワの群落
群落です。
花の群落はよくブログとこで見ますが、自分の目で見たのは初めて。
春は花、花を愛でる気持ちがよくわかります。
このあたりはこの群落があちこちにありました。
老木と能郷白山
最初の直登りきると前山へと続く主稜線にでます。
いっそう深山の雰囲気となり、木々の間から時々、雪をいただく山頂が顔をだします。
キクザキイチゲ
アズマイチゲかも知れないが、大きく花開くイチゲです。
葉っぱの大きさと花がアンバランスで、なんとも可憐です。
ムシカリ
別名、オオカメノキ。
葉っぱが亀の甲羅に似ているのでオオカメノキ。
葉っぱはムシが好きでよく食べるのでムシカリ!
名前の妙!名前はブログで教えてもらいました。
ショウジョウバカマ
猩猩袴。
名前の由来が好きで、「山で想うこと」にも書きました。
1000mを超えたあたりから現れ始めましたが、裏山からこの山のような標高の高いとことまで本当に幅広く咲いています。
能郷谷を望む
振り返れば、眼下に出発点である能郷谷が見えます。
常緑広葉樹(緑色)と落葉広葉樹(茶色)の境がよくわかる。
谷の深さもさることながら、植生の境目が印象的な風景です。
東側を望む
稜線から東側を望みます。
平家岳や毘沙門岳方面かと思いますが、どれかわかりません。
兎に角、奥美濃の山また山、谷また谷だらけの風景です。
能郷白山が眼前に
前山を超えると眼前に馬の背のような能郷白山が見えます。
右側の一番高い場所が山頂です。
ここからはブナ林を間を縫いながら、あの山目掛けたプロムナードです。
残雪も多く、ここからスパッツを装着します。
最後の直登道
最後は急登です。
結構な傾斜を横切る必要があり、残雪は急角度で谷底へ。
足を滑らせると危険なので、慎重に行動。
中央、ちょっと頭を出しているのが、熊野白山権現社です。
山頂から頂上部
山頂は高原状となっています。
夏はコバイケイソウやニッコウキスゲが咲き乱れるらしい。
GWということもあり、20〜30人の登山者で賑わっていました。
久々にたくさんの人を見ました。(このところ平日登山が多かった)
山頂から前山方面
登ってきた前山を望みます。
あの稜線沿いに歩き、超えたところを左(東)に下りたところが能郷谷です。
山頂から白山方面
北東方面は荒島岳や白山が望めるはずですが、ガスで見えません。
晴れは良いのですが、霞がかかったようで、遠くまで見えません。
山頂と私
なかなか充実した山行でした。
この季節は花も多いし、残雪の山々も美しい。
稜線歩きなので、夏はきついかもしれない。
この季節がBESTかも知れません。
麓の能郷は能・狂言の国指定重要無形民俗文化財があります。
今の能は観世流や和泉流など流派が決まっていますが、ここにはそれ以前の能の源流がそのまま残されている貴重な文化遺産だそうです。
白山神社とこの奉納される能楽、たいへん興味深い。
今度は必ずそれを目的に訪問したいと思います。
おまけ:妻への花束
さんざん山野草や可憐な花を見たので、誕生日が近い妻に花を贈ることにしました。
山の花は持って帰れないので、花屋さんに「極力、山の花っぽい素朴なやつで」との難しい注文を出しました。
結果はこの写真です。
本当に花ずくしの一日でした。