屋久島 黒味岳

2006年10月山歩き三昧の第四弾。
海上のアルプス、屋久島。
海上からいきなり約2000m立ち上がる重畳な特異な地形。
黒潮と強烈な亜熱帯の太陽光を受け、世界でもまれみにる壮大な自然。
1954年特別天然記念物、1964年国立公園、2002年世界自然遺産。
屋久島三山の一つである黒味岳は、標高1831m。
2006年10月18日(水)。曇り/霧。
麓の亜熱帯、中間の温暖帯、頂上部の冷温帯までの垂直分布を体感したい。
何千年も手付かずの自然を見ていたい。
想像以上の特異な自然でした。
もう一度、訪れてじっくり歩く価値あり。

屋久島 宮之浦港
鹿児島からフェリーで4時間、宮之浦港到着。
飛行機だと1時間弱だが、敢えて船旅を選ぶ。
下界は天気、奥岳は雲がかかっていた。
山岳地帯は一ヶ月に1万mm以上の雨が降り、世界最多雨に匹敵する。
黒潮が島にぶち当たり、空気が山を駆け上り、山岳地帯は雲が多い。
「一ヶ月に35日雨が降る」と言われている。
紀元杉
淀川登山口への途中、林道にある紀元杉
想定樹齢3000年!?。これが屋久杉か!?
樹脂分が通常の杉の6〜10倍あり、腐敗しにくく虫がつかないらしい。
薩摩藩への年貢は杉の平板だった。
今の巨木は形が悪いが故に生き残っているのだ。
着生植物は30種以上!?。
風格ある杉だが、車で簡単にここまでこれる為、観光客もあまた。
じっくり見る余裕なかった。
ヤクシカ
淀川登山口に到着。
途中の林道にもいたが、ここにもヤクシカがいる。
ヤクザルも同じだが、日本系動物の亜種で、屋久島で適応進化した種。
まったく人をおそれない。危害を加えないと知っているのだろう。
淀川杉
このあたりは標高1300m。
巨木はこの前後上がりに集中しているらしい。
この杉もその一つらしい。
紀元杉は観光地と化しているが、ここは登山道の途中でもあり人はいない。
うっそうとした樹林帯の中の一本。
暗闇に巨木!ちょっとした迫力。
 
淀川小屋泊まり
登山道から40分、今日はこの避難小屋泊まり。
木造ログハウス、2階建てで60人は収容できる無料の避難小屋。
りっぱで、きれいだ。トイレも水場もちゃんとある。
小屋前に人がたくさんいる。
今日は同宿者もたくさんいると安心していると、 皆下山するという。
結局、夕刻暗くなっても誰もこない。
今夜は私1人か!? めちゃくち心細いので、ラジオを聴きながら寝る。
この小屋以降は既に、「世界自然遺産」登録地域内、つまり原始の自然のまっただなかなのです。
熊やオオカミなど危険な動物がいないのだけが、唯一の安心材料だ。
尚、この島にはきつね・イノシシ・ウサギなどの里の動物もいない!
淀川
小屋横に流れる淀川。
まさしく清流、木々の緑や紅葉はじめの葉を水面に映し美しい。
この出発時点では屋久島の最高峰である宮之浦岳(1936m)に登る予定でした。
ところが天気が予想をはずし。悪い。
最悪でもその途上にある黒味岳までは行こうとの決意を固める。
ここからはアップダウンを繰り返し、徐〃に高度をあげて行きます。
名も無いない巨杉
霧が立ち込める登山道を歩く。
樹林帯はやはり屋久島独特だ。
これも巨木の一つ。
最初は歓声を上げていたが、たくさんあるので、じっと眺め始める。
ここの巨木は共生・寄生がたくさん見られる。
多雨と長い年月がこういう風景を造るのだろう。
立ち枯れの巨木
これはモミがツガの巨木でしょうか。
立ち枯れているが、これを土台に違う樹木が着生している。
自然の循環を感じる。
名も無い巨木の枝!?

登山道に巨木はたくさんあります。
その巨木から張り出す枝もまたぶっとい。
この写真はその典型です。
幹ではありません、あくまで“枝”です。
下部の登山道と比較すれば太さの想像がつ
荒廃している登山道

たくさんの登山者、たくさんの雨などの複合要因で荒廃する登山道。
もともの段差があるので、雨と登山者でえぐれる。
歩きにくくなるので、その左に迂回路ができる。
全国どこでも見かけるこの風景、ここでは結構目に付いた。
国立公園、世界自然遺産、人々(含む登山者)に原始の自然を知ってもらいながら、それを保護する難しさ。
花之江河

日本最南端にある高層湿原“花之江河”。
ここまで約2時間ほっと一息つける場所。
日本庭園を思わせる。
コケと湿原と立ち枯れと天気が良ければ黒味岳もみえるはず。
みえない!この時点で宮之浦岳をあきらめ、黒味岳に行き先変更!
黒味岳へのアプローチ

黒味岳分れから30分で山頂へ。
意外に急坂で、岩あり岩あり枝あり。
下からは根が盛り上がり、上からは樹がおおいかぶさる。
45Lのザックを担いでいたので、あっちこっちが引っかかる。
奇岩続きの稜線

よく見えないが、岩が多い。
途中岩登り場所も数箇所。
展望が利きそうな場所にでてもこのありさま。
奇岩・巨岩がありそうではある。
山頂付近

もう山頂に近い。
なんだかでっかい岩が続く。
高山帯に入り、高い樹木が無くなる。
巨石と低木と崖の間を縫うように登山道が続く。
黒味岳山頂

やっと山頂。
視界は、霧の中。
強烈な風でまともに立てない。
本来なら屋久島の高峰の絶好の展望地らしい。
1831m。
巨岩の岩山なので、山頂部は狭い、霧と恐怖で足がすくむ。
見えないから余計に怖い。
晴れていればの黒味岳

後日、他のHPから黒味岳の写真を無断拝借。
やっぱり花崗岩の巨岩の山頂なのだ。
そもそもこの島は、プレートの割れ目からマグマが上昇し、全体が隆起したできた島(山)なのです。
島全体がマグマが固まった花崗岩が主体であるのもうなずける。

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