入院というやつ
現在地:空と雲と山歩き>山で思うこと>人生はサイドストリーが面白い>入院というやつ
年齢を重ねてくると、身体機能が少しづつ壊れていく。
「形あるものいつか壊れる」・・・平家物語の諸行無常から来ているようだが、これは人体にも当てはまる。
更科功先生「美しい生物学講義」によると、表皮の基底層では細胞分裂が盛んで数週間で細胞は入れ替わる、表皮の下の真皮は数年、生物の多くの細胞は10年も経てば入れ変わる。
10経てば、今の私はもういない。細胞レベルの話だが・・・
細胞は遺伝子によって同じものに再生されるが、何度も繰り返している(=年齢を重ねると)その遺伝子に時に異変が起こる。
コピーも長年繰り返せば劣化することもあるだろう。まあ、そんなこんなで最近、入院した。
長らくの人生で「初」!なんでも、初は楽しく心ワクワクするが、入院というとそうでもない。その後に手術が控えていれば尚更。
その病院は名古屋市のど真ん中にあり、窓からは官庁街と広い空が見える。
盛夏、積乱雲が高層ビルを遥かに超えてそびえたつ。外はさぞや暑かろう。
ガラスの内側は温度は快適だが、心は快適でない。朝夕に官庁街を通勤する人々とは一線を画した世界にいる事に気が付く。
ガラス一枚を隔てて、なんとも神妙の心持で風景を眺める。
何をすることもなく、ただ時間が過ぎる。
風景をひたすら眺める。
・・・なにせ“初”体験は“ぞわぞわ”する。
緊張というわけではない、ぞわぞわする。だけ。
ぞわぞわか、もうちょっと正確な副詞で表現したいが、今は思いつかないので、とりあえず「ぞわぞわ」。
実は、その手術そう大したものではない。
それでも、初体験は緊張する。待ち時間は嫌なもの。
振り返れば、歯医者の方がよほど嫌な感じだったが。
終わると・・・(一応)安静にせよと言われて、いろんな計測器などに縛られて、身動きとれない。
これは困った。(大げさだが) 動けないのが一番、精神衛生上に悪くて、イライラが募り、夜中に爆発しそうになる。
飛行機でニューヨークに飛ぶと、あまりの長さに座席でイライラして、思わず席を立って機内をうろうろしたことを思い出した。
閉所恐怖症で高所恐怖症なのだが、それがあからさまに出た。
この程度の事でそうなる「自分の小ささ」に驚く。我慢の限界地が低いのかと自分が嫌になった。
一日一日と拘束の条件が取れてくると、実に爽快な気分となっていく。
病棟からの景色もなにも変わらない。のに、違った景色に見える・・・そんな心の変化に驚く。
担当医は、経過が順調だとわかると、今度は、ともかく歩けという。
外出禁止なので、ひたすら病棟の廊下を歩く。一周410歩、日に10回は歩く。
それ以外にすることがない。 飽きる(笑)でも、窓から見える景色の世界に戻っていけると思えば、全く苦にならない。
時間潰しに、ドラマを見る、2007年に放送された「ガリレオ」という福山雅治と柴崎コウが主演の
天才物理学者と新米刑事が超異常現象による殺人事件を物理学手法で解決していくドラマだ。
論理的な福山と感情で動く柴崎の対比と超異常現象の解明が徐々に進んでいくストーリーが実に面白い。
主演の福山さんはカッコよく、柴崎コウは美しい。
「感情」は自分でもびっくりするぐらい上下した。人の心の持ちようは「感情」そのもの。
心のコントロールが出来次第で、人は幸せににも不幸にもなると改めて思った。
心の持ちようは技術だろうか!? 習得可能か!?
行きつく先は、世間一般でいう「悟り」か!?
コロロの平穏を保つには、宗教も心の拠り所にするのも選択肢の一つなのかと思ったりする。
退院の前、朝焼け。
景色の感じ方は、その時その時の心の心象風景。
実に美しい。赤から青へと徐々に変化していく。この変化は科学的な説明が出来る。
人の心の移ろいは、まだまだ解明されていないことが多い。
ドラマのガリレオ先生に言わせれば「実に非論理的だ」ということになり、そしてそれを解明することは「実に面白い」。
2022年8月16日[記]
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