初めての山道具

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■私版「山がくれた百のよろこび」27■

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その道具屋はまだそこにあった
昔々・・・高校のワンダーフォーゲル部に所属していた時、顧問の先生が山道具を買いに連れて行ってくれたお店。そう遥か昔・・・
大阪で墓参りを済ませて、次は京都にある「山と道」ブランドの直営店を覗いてUL(ウルトラライト)な道具に触れてみようかと思っていた。
ふと、そういえば「あの店」はどうなっているだろうと頭をよぎり、足は自然にその方向に歩き出していた。
そして、そのお店はあった。
外観は昔の印象そのまま。そうこんな細長いビルでこんな看板だった。
「山とスキー」とある。山はイラスト・・・いい。

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タイムスリップ
お店に入った。あれ、なんの違和感も感じないこの感じ!
遥かなる高校時代となにも変わらない、昭和真っ只中な感じ。
木の板の壁、登山靴の棚、奥にはザック、扇風機、観葉植物。
ちょっと種類は少ない感はあるが、あの頃にタイムスリップしたようだ。
右側に2階への階段があるが、閉鎖されている。初めて行ったときは2階だったような。
それにしても誰もいない。お客が、ご主人すらも。
一番奥に進んでいくと、奥にご主人がいた。

「いらっしゃいませ」
「こんにちは、ザックを見に来たのですが、2階ですかね?」
「2階はもうやってないんですよ、ザックはその奥にあるあれだけ。だいぶ少なくなってしまった」
「そうですか。実は私は遥か昔、高校ワンゲル時代に顧問の先生に連れられて初めて山道具をこのお店で買ったんですよ」
「どちらの高校ワンゲルでした?」
「すぐそこのx高ワンゲル部です。」
「ああ、そうですか! 今でも先生方はこのお店に生徒を連れてきてくれるんですよ。」
「私が来た頃、ご主人はいらしたかな?」
「昭和xx年でしょ、いました、いました。お会いしているかもしれませんね。」

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林間学校
ご主人は高校の林間学校にも付き添いで行ったことがあるという。
「そうですか、今でも林間学校はあの山荘か〜昔の古い山荘は、川沿いにあって、よく行きました〜 電気もガスも水道もなくって、最初の仕事は太いゴムホース持って上流の水源に行くんですよね(笑)」
「今も電気もガスも水道もないですよ。ただ水道は近くの山小屋の水場を借りてるようです。
 生徒さんは、自主性が凄くあって、あれこれ指示をしなくても、自分で進んでどんどん進めてくれる、そんな良き伝統がありますね。」
「確かに私の頃も、そんな校風でした。自然にリーダーが決まり、役割分担が決まり・・・責任と自覚をもって・・・自由闊達な校風でした。懐かしい。」
「今は、体を痛めてもう行けないのが残念です。お店の2階は山スキーの道具を置いていたんだけで、縮小しています。そろそろ限界かな」
「そうですか、それで2階に行った記憶があるのか〜 お世話になったなあ」

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初めての山道具
ここで買った初めての山道具が登山靴だった。老舗の日本ブランド「キャラバンシューズ」・・・もうちょっと緑ぽかったかもしれない。
分厚い底、くるぶしまでくるミッドカット、そして長い紐・・・なんてじゃまくさい靴なんだとその頃は思っていた。
でも山を歩くと分かる。舗装されていない凸凹道にこれがどれほど大事なことか、長い紐でぐっとしばり足と一体化させることがどれだけ疲労を軽減するか。
ご主人は今でも導入モデルとしてはキャラバンシューズを進めているとおっしゃる。ちょっとうれしくなった。
最近の靴は底も上部も柔らかいとか軽いやつ、底は硬いけど上部が柔らかいとか、いろいろあるけどバランスが崩れているので「やわい」という。
量販店はメーカー戦略にあわせているのか、そんなものを売りたがる。

ご主人はその類の靴は直ぐにダメになるので、修理や調整はやらないらしい。ブランド名も教えてくれてた。自分も一つ持っている・・・
底も厚くて丈夫も本革の本格的なやつはちょっと高いけどメンテナンスを維持すれば、自分に足にもあってきて、一生ものになる。
よかったこれも一つ持っている! 

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最近の山を歩き始める人は、イキなり一式揃える、20万とか、これも大手販売店の販売戦略があるかもね。
昔は最初は、登山靴とザックと雨具の3点セットだけであとはトレーニングウエアとかでもなんの問題もなかったからね。
私も今でこそいろんな道具を持っているが、最初はその3点だった。重要なのはその3点であることは変わりはないが、確かに見た目から入る人は多い印象がある。今時見た目は大事だから。

ご主人とは、遥か昔にお会いしたかもしれないが、事実上 面識はない。
でも初対面にも関わらず、共通の話題が多いので、すごく盛り上がった。
「もうそう長くは出来ないけどね、登山靴のメンテナンスは専用の器具があるので、今でも出来るよ、また来てください」「ご主人もお元気で」と言ってお別れした。
そう遥か昔へのタイムスリップ、それなりの年齢になってくると「懐かしむ」一時が楽しい。
この初めての山道具屋さんとも実に楽しいひと時だった。年齢を重ねるとそんな機会が増えるが、悪くないなと思う。

〜〜〜〜〜山仲間に初登山靴の思い出を聞いてみた。それをCopilotでアニメ化…〜〜〜〜〜
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2025年8月24日[記]

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