空と雲と山歩き>森歩き>葉っぱから植物の戦略を学ぶ


2025年秋、山の自然学クラブで多田先生をお招きして国立科学自然教育園にて「葉っぱからみる植物の戦略」という現地講座に参加した。

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葉っぱのを支える
葉っぱは太陽光を多く獲得しようと効率的に葉っぱを展開する。大きくなったり、高い位置を目指したり。
葉っぱは大きくなると、それを支えるのが大変、ハスが良い例で大きい。水の上に葉っぱを大きく広げるが、それを支えるに、葉っぱの重心を考えてバランスの良い処から茎が出ている。
葉っぱは一枚なのでほぼ真ん中にあって、穴がある。雨などの水が溜まるが、その穴は茎の中を通って排水する。
それも葉っぱには毛が密生しており、水滴はコロコロと穴へ向かって転がっていく、ロータス効果とよばれる機能・・・すごすぎる。
フキも大きな葉っぱが2つついてるが、これもバランスをとる場所に茎が伸びている。写真のキズタは若い頃は浅く裂けて3〜5角に浅く裂ける。この時も、重心を考えているらしい。
太陽光を効率的に集める工夫は葉っぱにあるが、当然それを支える工夫もいるわけで、多田先生に説明いただくと、葉っぱの形状と支え方についてもとても勉強になる。

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風と葉っぱ
ケヤキの葉っぱが入口にたくさん落ちいた。実は、落葉の方法が興味深い。
4・5枚の枯葉を付けた小枝ごと落とす。そこには実も付いている。ケヤキは単葉なのだが、あえてそんなロットで落葉される。
この形状だと、風に吹かれるとくるくる回って、遠くまで自分の子孫(実)を移動されることができる・・・そんな戦略をとっている。
マツ・カエデ・シデ類など翼果、つまり実(み)に羽根と一体化した形状へ変更される。それを単体で遠くに飛ばそうとする樹木が多い。
どんな進化の過程を経てこの飛ばし方になったので、実に興味深い。
動画はたまたま、この自然教育園ではなく、京都の下賀茂神社でそのロットが舞い落ちる現場に出会ったので撮影した。
山の斜面など、より風が強ければ、遠くまで飛ぶことだろう。
先生は、自然園の入口でそんな話をしてから観察会はスタートする。その戦略は既知ではあったが、ゲストの多くは感心しているようだ。
さらに、複葉の目的は「風や水圧(雨)の分散という目的もあるので、水と風の多い場所に多い」とも解説をいただいた。
複葉といえば、単葉から分裂葉へ、分裂葉から複葉へと、主な理由は太陽光を効率的に受け取る為と理解していたが、水圧や風圧を現象されることも目的ということか。
尾張だと ホオノキは谷筋でそれにあてはまりそう、ヤマハゼは太陽光を求めて山の斜面に多しらしいので、雨風をまともに受けるということか。
そんな視点で複葉を見るのも楽しい。

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トライコーム
葉っぱに生える毛を専門用語では「トライコーム」と呼ぶらしい。
写真は「ナツグミ:グミ科グミ属」、アキグミは落葉主、ナツグミは常緑樹・・・共通するのは「毛」・・・グミ科は「毛」が見分ける特徴でもある。
先生が、グミの葉っぱを、100円ショップで売っているレンズとタブレットで拡大して見る。
鱗片上の毛が表裏、特に裏に多い。鱗状毛とか星状毛と呼ばれるものが密生している。
「木のメモ帳」HPによれば、5つ程度の目的があるらしいが、詳しいことは分かっていないということらしい。
1.撥水機能(気孔の閉塞防止)2. 虫除け機能 3.異物の付着防止機能 4.寒冷地での断熱機能 5.乾燥地での乾燥防止・日除け機能等
植物生理学会HPにある勝見先生の解説(2024年7月)によれば、
「トライコームには植物が生育する周囲の環境の好ましくない影響を防ぐ働きがあるとされています。だからトライコームは若い器官(葉など)や柔らかくて、がんじょうでない器官でめだちます。成葉(大人の葉)ではたくさんあったトライコームが少なくなってしまったりします。成葉ではトライコームはたくさんなくても大丈夫」との分かりやすい説明もいただいている。
そう新芽や若葉にいろんな毛の種類があって、葉っぱを外的悪環境から守っていることは知っていたが、グミは生葉になっても多いように思う。
どんな進化の過程でそうなったのか、ぜひもっと調べてみたい。

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食害から守る工夫
ヤブミョウガ:ツユクサ科ヤブミョウガ属:地下茎で増える多年草の草本で本州から沖縄、中国に自生する。
これも葉っぱに毛がある、触るとザラツキ感がある。直毛!?か。
ポイントは、生える向きで、葉先向かって斜めに生えているらしい。
動物が葉っぱを食べた時に、ノドに引っかかるので、葉っぱを食べるのを躊躇させる作戦らしい。
葉っぱの食害を防ぐ戦略としては、毒がある(アセビ等)、棘がある(ヒイラギ等)が思いつくが、毛の向きの工夫で身を守る。
これもレンズで覗くとそれらしきものが見える。ミクロの世界を楽しめる。

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化学実験
ムクロジ:ムクロジ科ムクロジ属:インドから東アジアの温帯域に自生、日本では茨城以南、10枚の偶数の波状複葉、黒くて硬い実は羽根玉利用で有名。
この黄色い実にはサポニンとう界面活性剤の成分があって、昔は洗濯や洗髪に利用していたことでも知られている。
その成分は昆虫や微生物からの防御物資として存在するのだが、人はそれを活用している。
漢方や生薬ととても使われ、がんの抑制など医薬品開発としても注目されてているらしい。
そんなサポニンであることの実験。ペットボトルに水を入れ、ムクロジの実の黄色い皮を入れて、シャカシャカ振るというもの。
たくさんの石鹸の泡が出る。
万が一、石鹸や洗剤がなくなる時が来れば、間違いなく覚えておいて損はない技術。
葉っぱの実験でないが、実に面白い。お茶葉にも0.1%含まれていて、強い苦みとエグミはこれが原因らしい。毒というのは使い方によっては人の生活を助けてくれる。

多田先生の現地講座は楽しい。人気があるのもわかる。触ったり、臭ったり、レンズを覗いたり・・・フィールドに出て5感で学ぶのは楽しい。

今回の講座はミクロな視点で植物の世界を覗かせていただいた。
改めて、植物のすごさを感じた。4億年まえに海から陸上に現れて。激しい環境変化に生き抜いてきた種が現在の姿になっている。
自身を守る知恵、子孫を増やす知恵は、人類よりの大先輩ですね〜とよくガイドで話す。
動けないからこそ、子孫を増やすのに風でとばしたり、水に流したり、鳥や動物に運ばせて、範囲を広げてきた。
身を守るために、化学的に物理的にいろんな戦略を考えてきた。
古より、人は、改良して食べ物として田畑や植物工場で栽培、その毒でさえ薬や漢方などに活用している。
実は、人類は植物から学んでそれを利用していると思い込んでいるが、マクロ視点で見れば 人類は“利用されている”だけだったりして・・・と時に思う。

2025年11月8日[勉強日] 2026年1月31日[記]

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