高さが変ると森も変わる

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■標高と地形と森タイプ■

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山は高山から低山まで歩く。いつも思うのは、高さが変ると森の様子が変わっていくこと。
それぞれの場所には、おどろくほと多種の植物が、まだまだ知らない世界があることに気付く。それが楽しい♪
高度が高くなれば、気温が下がり、山岳地になれば自然環境も厳しくなり、植生はさみしくなるが、大きな森が広がる。
高度が低くなれば、気温も上がり、自然環境もおだやかになってきて、植生も豊かになる。
このポンチ絵(まだまだですが)、あちこちの資料を参考にしながら、中部地方太平洋側、高さで変遷する森の絵を描いてみた。

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2,400m〜2,500mより高いエリアは高山帯。寒帯。
森林限界を超える為、樹木で目立つのはマツ科マツ属、常緑針葉樹、ハイマツ。ここは白馬山系小蓮華岳への登山道。
名前の通り、強風と豪雪に耐えられるように、まさに這う松。横に15mになるものもある。
この樹木以外で目立つのは、美し高山植物と砂と岩・・・
遮るものがない広い視界、豪快な山岳風景、
まさにここを歩くとき、登山していることを実感する。

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1,500〜2,400m辺り、常緑針葉樹林域=コケモモートウヒ域と呼ぶ。亜寒帯。(環境省「植生区分とクラス域」)
マツ科モミ属、常緑針葉樹、オオシラビソ。高さは40mにもなる。八ヶ岳にゅう 標高は2,000mを超える。
オオシラビソは、トウヒ同様、寒冷で多雪地帯で優勢になる樹種。仲間にシラビソがあり、よく混生している。
シラビソより葉が短く、枝が上方を向いて枝が見えない、葉を千切ると香る。
八ヶ岳でこの森に入ると、広大なエリアを歩くことになり、
どこまでも同じ景色が続く不思議な感覚になる。あまり長く続くと飽きる(笑)

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落葉樹もある。カバノキ科カバノキ属、ダケカンバ。樹高は20mぐらいまで成長する。秋は黄葉。
白山 大倉尾根、亜高山帯。標高は1,500m。 
シラカバは1,000m辺り、この木は更に標高が高い所に自生。どちらもパイオニア植物で陽樹、生長が早い。
山を歩いていると、斜面で見かけることが多い気がする(山は斜面かそもそも)が、
亜高山のパイオニアなので、風雪に耐えることが多く、樹形が変形していることが多い。
この木をみると、まだまだ高山を歩いていると実感する。そんな森、ダケカンバ林。

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1,500m〜700m辺り、落葉広葉樹林域、群落体系上の最上級単位であるブナの名をとり、ブナクラス域と呼ぶ。冷温帯。(環境省「植生区分とクラス域」)
ブナ科ブナ属、ブナ・落葉広葉樹
越前の荒島岳中腹、標高は1,200m付近。
年間平均気温10度前後、冷温帯で敵湿地を好む。乾いた場所ではミズナラが優勢になる。
傾斜がきついとか崖では生きていけない、適度な斜面(=適潤)を好むらしい。いわば、“よい子ちゃん”(山の自然学クラブ 増澤先生)。
大きな森を造る。春の新緑、夏の緑、秋の黄葉、どの季節でも歩くとこの森は気持ち良い。

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ブナ科ブナ属、イヌブナ・落葉広葉樹
標高の低い山地にも普通。日本海側にはない。太平洋型のブナ!? 
葉幅がちょっと広く、側脈多く、ひこばえが目立ち、幹が黒っぽい。
こいつは、ブナと違って頑張屋なので、崖でも生きていく。ブナでも生き方が違う。
「イヌ」という名前を付けれれる樹木があるが、かわいそう。私はそんなイヌブナが好きだ。
他にも、イヌガヤ、イヌツゲ・・・

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マツ科ツガ属ツガとマツ科モミ属モミ、混生している。
枝を横に張り出して緑色がツガ、濃緑でかたまっているのがモミ。
ここは、奥多摩 三頭山、標高は1,000m辺り。
標高が高くなるとコメツガが優勢となるが、この辺りだとツガ。
モミは高い所にもいるが、暖温帯にも自生していて、ツガと混生して林を造る。
遠くからでも樹形で判別できるところが楽しい。
下ってくると植生は、どんどん豊になってくる。

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ムクロジ科トチノキ属トチノキ
越前の苅安山への途上、冷温帯の沢沿い。日本最大の掌状複葉の樹。
この大きな葉っぱ、大きいもので40cmにもなる、たくさんの水と太陽光がいるんだろう。だからか実も立派。栃の実。
飛騨辺りに行くと栃のみせんべいがあるが、あのトチノキ。

モクセイ科トネリコ属シオジ
冷温帯のサワグルミ林に混生。個体数は多くない。(ヤマケイハンディ図鑑「樹木の葉」)
興味深いのは、サワグルミなどは沢の近くで生きていること。
理由は、川が氾濫すると真っ先にそこに生える。他種が出てくる前に。
氾濫は50〜60年に起きるので、生長も早く高木となる。水と氾濫リスクを選んで生きる。
沢を選ぶ樹木はおもしろい。

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だいぶ標高が下がってきた。
標高700m以下、常緑広葉樹林域、体系上の最上級単位であるヤブツバの名をとって、ヤブツバキクラス域と呼ぶ。暖温帯。(環境省「植生区分とクラス域」)

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ヤブツバキ:ツバキ目ツバキ科ツバキ属、常緑小高木。
裏山は標高437m、山頂からは伊勢湾を望める展望の良い低山。
ヤブツバキは確かに多い。照葉樹林帯と呼ばれる。葉がテカテカしている照葉樹林の一角を占める。
白めの滑らかな樹皮、葉は広い楕県警で硬くて厚みがあり、光沢がつよく、細かい鋸歯が多数並ぶ。 
元々は南方系の樹木で、花は平開せず・・・冬場に赤色が見える鳥が密を吸うのを見かける。
日本海側の多雪地帯にはユキツバキがあり、ヤブツバキが北進して進化しているのではと、勝手に思っている。

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ヤマモモ科ヤマモモ属ヤマモモ
沿海の照葉樹帯に普通にある。
六甲山の海側、立派なヤマモモ林があった。 白みを帯びた独特の幹、枝ぶり、葉は枝先に集まる。
初夏には小さいビースが集まった丸い赤い実がなる。甘酸っぱく生で食べれる。
尾根の乾燥した場所などやせ地で森林を構成する主要樹種の一つ。
低山で白みを帯びた幹の樹木はそう多くないので、山で出会うとはっとすることがある。

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ヤマモモよりメジャーなのは、ブナ科シイ属スダジイ、ブナ科コナラ属アラカシ、クスノキ科クスノキ属タブノキなどの常緑高木。
ほかにもモチノキ科、ツバキ科・・・高木から中低木まで、植生は豊か。
「常緑帯なので林冠が密で落葉樹林帯に比較すると陽光がすくなく、低木や草本は限られるがシダ類の繁殖は特筆すべき。」(Wikipedea)らしい。確かに谷側にはシダが多い!
里山は人の手が入るので、二次林であるブナ科コナラ属:コナラ・クヌギなど落葉樹も混在する。
つまりは、このエリアは自然と人工(人の手)が混在するエリアなので、植生も豊で、歩く機会も多い。里山は、別の機会にアップしたい。
写真はヤブツバキで紹介した裏山、木曽山系の末端、弥勒山は437m。山頂からは眼下の森とその先は広大な濃尾平野その先は伊勢湾。

頭の中で、標高差2,500m以上を下りながら、森が変る様子をまとめてみた。
やぱり、日本の森は豊かで興味深い。

2020年4月19日[記]  10月17日[改] 


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