枯凋性〜落ちない枯葉
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■ 枯葉と落葉を考える ■

冬に森を歩いていると、ふっと違和感を感じる時がある。
愛知県は気候区分だと暖温帯になり、常緑樹と落葉樹が混生している。
なにげない山道で、緑を眺めていると、景色に違和感がある時がある。
時々茶色が混ざっている・・・枯葉だ。

そう、常緑樹に枯葉のついた落葉樹が混ざって、同じ目線にあると、違和感を感じるということ。
枯葉だが落葉していない状態を「枯凋性(こちょうせい)」という。
草木が「枯れて凋(しぼ)んで勢いがなくなる」こと。

クヌギの樹、ブナ科コナラ属。本州から九州の暖温帯、低地から丘陵地に普通。
葉っぱが特徴的で、細長く鋸歯が荒々しい。クリやアベマキもこんな感じ。
完全に枯れているが落葉していない。
これだけ、たわわに枯葉が枝にあると違和感があるわけだ。
一般的にいう、枯凋性の点は3つ。
(1)冬の寒風や潮風から冬芽を守る。(樹木医の尾関さんにこれを教えてもらった)
(2)シカなどの枯食動物に冬芽を食べられないようにする。冬芽と一緒に食べるとマズイらしい。食べたことはない(笑)
(3)冬に樹上に保持して、春に落葉させると葉の分解効率が高まり、栄養や塩分吸収に有利に作用する可能性がある。


盛岡城跡でカシワの黄葉を見たことがある。
その後、飛騨の位山で「落ちないカシワ葉」を見た!
カシワ(柏)、ブナ科コナラ属。北海道〜九州の温帯に自生、海岸から山地の明るい林。特に北海道に多い。
黄葉しているのに、足下に落葉していない。
不思議な木だなアとおもしろがっていたが、この樹は枯凋性の代表らしい。
新潟に柏原市という街があるが、どうもこの樹から来ているようだ。
日本海からの潮風、塩分から冬芽を守っている訳だ。
柏餅のカシワはこの葉っぱだが、芳香があり、新芽が出るまで冬を通して落葉しない、「縁起の良い葉っぱ」ということで関東地方などで使われたのだそうだ。
なるほど、「代々つながる」という意味を見出したのか、なるほど、なるほど、実に面白い。
今時なら、持続可能な社会(=SDGs)の世界観というわけか。

普段はあまり気が付かないが、冬だからころナラガシワを発見!?した。
ナラガシワ、ブナ科コナラ属。本州から九州の主に温暖帯に自生。コナラやアベマキと混生する。
葉っぱはミズナラに似ていたが、ここはブナ林ではなく、常緑樹林帯でコナラもある・・・ということでナラガシワ。
それにしても、見事!?に枯葉が残っている。
「ブナ科、カバノキ科、クスノキ科などにその傾向がみられる」
「カシワは葉を落とさない、アベマキは秋早く落とす葉と春まで落とさない葉に分かれる、コナラはその中間」(日本植物生理学会QA2012年)
科学的な理由は、離層の形成か早いか遅いか、維管束の構造によるということ。
離層の形成は樹種によるし、維管束の構造は樹種と老木と若木でも違う。
当然、若い方が維管束は丈夫だ。写真のナラガシワは若い。

クスノキ科で有名なのは、ヤマコウバシ。クスノキ科クロモジ属、関東から九州の温帯に自生する落葉小高木。
山香・・・と書いてヤマコウバシ。枝葉を折ったり揉み解すとショウガの香りがする。秋にはオレンジ色の紅葉が美しい。
最大の特徴は冬に葉が落ちない。
「落ちない」ことにかけて、受験生用に葉っぱをお守りとして使われる。
確かに山を歩いていると見事に残っている。

なぜに、樹種によってそんな特性がでるのか!?
「これらの植物の祖先は常緑性だったので,その性質がこのような型で保たれたまま温帯域まで分布をひろげて種分化をとげた。」(大阪大学 寺島教授 2009年)
むむム・・・本当か
もともとは常緑性だった、それが何故、熱帯?から四季のある温帯域に広がってきたのか、気候変動で高温と低温時代を繰り返す自然史と関係があるのか
なぜなぜ? いろいろ知りたくなる。
きっと億年単位の進化の歴史だろうから、自然史や考古生物学の世界になるのか。
分かれば分かるほど、知りたいことが増えてきて、夜も眠れなくなる(笑)
2020年3月29日<記> 2022年12月3日<改>
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