サクラの野生種とは、栽培品種とはなにか!?
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■野生種はどこにあって、栽培種はどやって増えてきたか■
吉野の桜、約1300年前 吉野で修行していた役行者が苦行の末、蔵王権現を感得して桜の木で仏像を作って安置した・・・
桜がご神木となり、桜が寄進され増え続け、現在は全山に約3万本あるそうだ。
そのサクラは 「ヤマザクラ」はやりの「ソメイヨシノ」ではない。
ほのかに紅色の葉っぱと白に近い桜色の花が同時にでる代表的な野生種。山桜というぐらいなので山地に自生する。
日本の野生種は11種(含む2018年発見のクマノザクラ)らしい。
たいていの本には、野生種は咲く環境が違うので、すみわけができていて自然交配は起こりにくい…とある。標高やエリアが違うので自生域があまり重ならない!?っとことか!
自分でマップに落とさないと気が済まないので、水平と垂直マップと分布域(含む勝手な推測)をマッピングしてみた。業界初か(笑)…YamaburaSakuraMapとでも名付けよう!
亜高山帯には「タカネザクラ」、別名「峰桜」。
冷温帯、特に北海道に多い「オオヤマザクラ」、大振りで目立つ。 同じような域内に「エドヒガン」があるが傾斜地に多いらしい。
その間には「ミヤマザクラ」があるが、これは咲くタイミングが遅いらしい。中部あたりだと5月中旬。
暖温帯には、冒頭の桜「ヤマザクラ」。 近いエリアに「カスミザクラ」、が、これまた咲くタイミングが遅い。
マッピングをしながら、なるほどなるほど“標高、咲くタイミング、咲く場所”に棲み分けが出来ているので交配が進まないのねと納得。実にたのしい ♪
それ以外に5種あるが、どれもエリアが特定されている。
エリアが特定されている言えば、高山を歩いていてふと出会うと感動する「タカネザクラ」!
ここは、標高1700m辺り上高地の横尾から槍沢に入り、ロッジの手前辺り。
もう5月中旬、これから満開を迎えようとするタイミング。残雪を遠景に咲く淡いピンク色の花と若葉を見ると感動する。
そう高木にはならないが、亜高山でないと見れない、まさに「高嶺に咲くサクラ」
どういう経緯をたどって、この厳しい地で生きていくようになったか・・・その美しさと共に興味深い。
その中で、一番有名なのは「オオシマザクラ」だろう。
大形で白色、生長が早い。
大島や伊豆半島が自生地。500万年に大陸プレートに乗った伊豆半島が本州にぶつかった時に共に現れたというロマンある説もある。
漁村に多く、干満差による潮や風に耐えることができる強靭な桜らしい。
成長が早いいので雑木林に植えられ漁師が、薪として有用だった。大島・伊豆と港伝いに広まった。別名、「薪桜」
花振りはもちろんだが、強靭さは変化への対応力もあるのか、栽培種の8割はこのオオシマザクラが母親。
その「オオシマザクラ」と石垣島の「カンヒザクラ」が交配したのが、「河津桜」!
1955年に静岡県河津町で発見された。なんでこんなに早く咲く桜があるんだろう・・・が発見の始まり。
江戸時代、将軍様が沖縄の珍しい早咲きの「カンヒザクラ」をお屋敷に持ち帰った、そこにあった「オオシマザクラ」とたまたま交配して出来た”なんて説もあるとか
大振りな「オオシマザクラ」と早咲きで深紅の「カンヒザクラ」の両方を受け継いでいる「河津桜」は人気者。
尚、沖縄での桜開花の標準木は「リュウキュウカンヒザクラ」で花は開いてもうちょっと白っぽい。カンヒザクラとの関係は研究者が調査中らしい。( 2023年追記)
半面、本来は寒い場所では成長が難しいらしく、接ぎ木で増やしているとか。
現代の一番人気、桜と言えば「ソメイヨシノ」、母親「エドヒガン」x父親「オオシマザクラ」、江戸の染井村の植木職人が広めた。
エドヒガンの大量の花、葉よりの花が出る特性を引き継いでいる。
植木を売るべく「吉野桜」というブランド名で売ったが、クレームがついたのか!?、後に「染井」村の「吉野」桜を意味する「ソメイヨシノ」に改名した。
現在、日本中に拡大しているソメイヨシノは実生ではなく、接ぎ木接ぎ木で増やすしか方法がなく、つまりはクローンになる。
桜前線なる言葉はソメイヨシノの開花日のことで、遺伝子が同じ栽培種が故に、条件が同じなら同じタイミングで咲くことからこの言葉が成立する。
ヤマザクラなどの野生種は、花が雌蕊に雄蕊の花粉が付いて受精して実生で増えるので、遺伝子が多様、花が咲く時期が全く同じとは限らない。そこが大きな違い。
4月上旬、卒業・入学の季節に大量の花がぱっとさいてぱっと散る・・・そんな桜のイメージは明治以降にこの花が造った。
それぞれの栽培種にはそれぞれの物語があって面白い。
栽培品種は、すでに300種を超えるらしい。「山桜」に対して「里桜」と総称されるが、品種名ではない。
野生種と栽培品種の母父の関係をまとめてみた。革命的にわかりやすくなった。と、これも、業界初か!?
縦軸に野生種11種を核とする「♀」、横軸に交配した(であろう)種を記載してみた。オオシマザクラ系がスペースを取っている。
日本で植わっている桜の8割はソメイヨシノだが、「里桜」を含む栽培品種の8割はオオシマザクラ系、早咲きは「カンヒザクラ系となる。(2023年追記:樹木医 尾関 談)
ほとんどは観賞用、室町時代の「普賢象」を初めてとして「オオシマザクラ」を母親とするものが8割を占める。大柄な花弁と強靭な桜が故に変化への対応力もあるのだろう。
どれも見栄えがする。八重の「関山」、緑の「御衣黄」、黄色の「ウコン」・・・
確かにどれもこれも鑑賞に耐えうる美しさ。
江戸時代後半はサクラだけでなく栽培品種がとても発達したのようで、サクラもすでに250種ほど作られた。すごい、江戸時代は。
現代でもサクラの種類は増え続けている。
ソメイヨシノの研究をしている時に出来た「アマギヨシノ:天城吉野」、ソメイヨシノと逆で、母「オオシマザクラ」父「エドヒガン」。
戦争で亡くなった学生への哀悼、戦争のない世の中の希求、台湾x日本のかけ橋を願った「陽光」、母「タイワンカンヒザクラ」父「オオシマザクラ」。
鑑賞用だけでなく、目的も多様化している。バイオ技術がなせる技。
春に咲くサクラには、遥か1300年以上前 役行者が蔵王権現を感得してからの神仙性、9世紀吉野山で天皇陛下が花見に始まる観賞性など、深く日本文化に関わってきた。
これからもたくさんの品種が生まれ、たくさんの文化を育んでくれることだろう。
2021年3月27日 〜サクラ咲く(3x9=27)で"サクラの日"〜 2024月6日1日<タカネザクラ追記>
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