キノコとは何者か!?
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「キノコ」とは、大型の菌類のこと。動物でもなく植物でもない、菌類という分類。キノコはその中で地上に大型の構造物をつくる菌類の総称で正式な分類名称ではない。
カビ/地衣類・酵母と同じ仲間。体は「菌糸」という細長い細胞で出来ていて、その細胞壁から養分と水分を吸収して増殖して増えていく。
菌糸が植物でいう根にあたり、キノコはその集合体で、植物で言えば花である「子実体」と呼ばれ、タネである「胞子」をつくりばらまく器官になる。
種類数は世界で約2万、日本では3000〜4000種と言われる。年々増えているらしい。
種類の分類方法は、生物学的には「担子菌門」「子嚢菌門」、養分の摂取方法で「寄生」「腐生」「共生」に分類される。
担子菌は多くのキノコが属していて「担子器と呼ばれる構造の外側に胞子をつくる菌類で、マツタケやシイタケなど」、子嚢菌はカビや酵母に多いが、「子嚢と呼ばれる袋状の器官の内部に胞子をつくる菌類で、トリュフやアミガサタケなど」・・・ちょっと難しい。
この二つは、明らかにキノコといえば思いつく形状。
担子菌門ハラタケ目テングタケ科・・・赤いのはタマゴタケの幼菌、白いのはシロテングタケ?かな。すでに同定が難しい(笑)
傘はテングタケ科の特徴は、「傘ははじめ球形、のちに生長するとまんじゅう形から水平に開き、老菌ではやや反り返る程度まで開く。」(Wiki)
卵型というか球形の中から出てきて、その名残りが足元に残り「ツボ」と呼ばれる
養分の摂取方法は「生きた樹木と共生する菌根性の菌類」なのでマツ科やブナ科の生きて樹木の足元に出てくる。この2つも近くの里山。
ちなみに、テングタケ科は多くは毒があるが、赤いタマグタケはとても信じられないが「可食」らしい。
なぜ、赤いのか、白いのか・・・花ならば昆虫や鳥類狙いだが、いったいなになのだろう? と不思議に思う。
担子菌門ハラタケ目モエギタケ科ナメコ・・・腐生性。秋から初冬 ブナなど広葉樹の枯れ木、倒木、切り株に群生または束生(北隆社キノコ図鑑)
10月末 奥上高地、徳澤峠への途上で発見! 標高2000m辺り。
みるからに「ナメコ」、実にうまそうに倒木に群生していた(笑)
これもハラタケ目で特徴は「柄と傘からなり、傘の裏にはひだ、もしくは管孔があり、そこから胞子を飛ばす(Wiki)」・・・テングタケもハラタケ目。
モエギダケ科は「腐生性。地上、枯木などの材状、糞上に子実体を形成し、肉質(キノコ図鑑)」・・・確かにテングタケとは違う。
腐生性は、オガクズや原木で人工栽培が出来る種が多い、ナメコ、シイタケ、エノキタケ、シメジ、エノキタケ。
逆に共生するキノコは生きた樹木と共生するので人口栽培が難しい、マツタケなど・・・なるほど勉強になる。
表面が粘性があるが、あれは何の為か
担子菌門ハラタケ目ホコリタケ科ホコリタケ・・・腐生性。夏から秋、林内の倒木上、草地、畑、道端にに丹精または群生(キノコ図鑑)
10月 福井の岩篭山の谷沿いで、上る途中で発見
傘と柄があいまいだが、ハラタケ目。頭部が擬宝珠方で頂部に針状突起が密生
成熟すると球状頭部の先端が突出し、小孔が開口し雨滴などの外圧で胞子を噴出する。
この写真はすでに孔があいているので、胞子が出た跡か・・・きっとホコリのように出るんだろうなあ
胞子の出し方にはいろんな戦術があると感心
これも幼菌は可食らしい。こんなのを食べようと思うのが凄い
担子菌門ハラタケ目シロソウメンタケ科ナギナタタケ・・・
腐生性。夏から秋、広葉樹林またはまつの混生する雑木林の地上に群生または散生する(キノコ図鑑)
8月近くの里山でたまに見かける。なにせ、形状が特異なので記憶に残りやすい。
古くなると先端が暗褐色に変わり、胞子は亜球形で顕著な嘴状突起を有するらしい。
これもハラタケ目なのだが、傘と柄がないが
・・・胞子はどこから出るのか・・・図鑑ではそこまでわからず。
キノコの名称は結構見た目で決まっているのか、覚えやすい。
ナギナタ、ソウメン、ホコリ などなど。
担子菌門イグチ目イグチ科・・・共生。イグチ目は一般的に傘の裏にひだの代わりに管孔構造があることで特徴。スポンジの様。近年は、傘裏に襞があるものもあるようだが・・・イグチ科はスポンジ。
この種も普通に見かけるキノコ。3枚とも里山。
赤いのはベニイグチ属ベニイグチ?、実にうまそうなホットケーキに見えるが、食毒不明。
黄色いのはキクバナイグチ属キクバナイグチ、これもパンケーキのように旨そうだが、食毒不明。
オレンジ色はキイロイグチ属キイロイグチ?、シイやカシはやカシ林やアカマツ、コナラ林の地上に発生する。同定がただしければ有毒。
見た目のうまそうではない(笑) ←キノコは見た目で判断してはいけない! 素人は危ない!
イグチは猪口、“傘の形がイノシシの口に似ているから”らしい。
キノコを傷をつけると鮮やかな青色や赤色に変色する・・・なんらかの化学成分が空気に触れて酸化反応を起こすらしいが、実に興味深いのでもっと知りたい。
メジャーなハラタケ目とイグチ目を紹介してきたが、まだまだ様々な種類がある。見た目も変わったほかの目もご紹介。
担子菌門ラッパタケ目ラッパタケ科ウスタケ・・・共生。モミなどの針葉樹の地上に発生。
7月末 上高地、梓川沿い。見るからに形状がラッパ型というか臼(ウス)型?
担子菌門スッポンタケ目スッポンタケ科キヌガサタケ・・・共生。初夏から秋、広葉樹林、竹林、庭地の地上または半地中に丹精または散生。
「キノコの女王」。6月初 京都植物園の竹林。午前中に網状の傘が開くとあった。マントの半径は20cmにもなるらしい。食用。
担子菌門タマチョレイタケ目ハナビラタケ科ハナビラタケ・・・夏から秋、針葉樹の切り株に発生、立木の根元に発生して心材腐朽を起こす。
7月中旬 奥三河の原生林の中。ぱっと見はキノコにはとても見えない。食用。
なにせ、持っている北隆社キノコ図鑑(2021年)にも、839種 担子菌門3網17目83科、子嚢菌門5網10目24科! それも新発見は年々続く。
成長スピードが凄い。ちょっと雨が続いた後に山を歩くと、多くのキノコがにょっきにょき生えている。
とあるブログを見ていると、冒頭のタマゴタケは、6時間後に傘が半分以上開き、19時間後に全開したらしい。すごい、このエネルギーはどこから来るのか。
植物、動物とは違う世界、世の中には必須の分解屋のイメージしかなかったが、解き明かされない謎がたくさん。
もう少し、足元を楽しんでみようと思う。
2024年9月29日[記] 〜FIA犬山八曽でのキノコ研修会を契機に
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