素敵な軽井沢 植生
空と雲と山歩き>森歩き>素敵な軽井沢 植生
凄く素敵な風景だった。
「軽井沢 野鳥の森」にある「ケラ池」の風景、野鳥の森の沢の水で作ったらしい。
野鳥の勉強だとか言って、妻と一緒に歩いた。小雨が降っていたので、野鳥のさえずりはあまり聞こえなかったが、なかなか素敵な風景の素敵な森だった。
ピッキオという自然保護団体のホームぺージの解説が分かりよい。
『軽井沢 野鳥の森は、標高950mから1100mに位置する高原の森。 広さは約100ha。このうちの半分ほどに約3kmの遊歩道が設置されている。
日本野鳥の会の創設者である中西悟堂(なかにし ごどう/1895〜1984年)が、軽井沢・星野の地を「日本三大野鳥生息地」と呼び、
星野嘉助(星野温泉の2代目)による野鳥の保護活動が行われていたことなどから、1974年に環境省(当時は環境庁)により、国設野鳥の森に指定された。』
中西さんは「野鳥は食べて楽しむものではない、見て楽しむものだ」と星野に語っていたそうだ(星野リゾートHP)。
現在の星野リゾートの始まりの地、日本野鳥の会の発祥の地か・・・と初めて知った。
この池の入口には大きな「トチノキ」がある。
一抱えしても手に余る幹回りの巨木だ。こんなに立派なトチノキはみたことがない。思わず「おオ」と声を上げた。
幹回りだけでなく見上げるほどに高い、写真では伝えきれないのが残念。
「トチノキ」ムクロジ科トチノキ属、冷温帯に自生する落葉高木。
特徴はなんといっても、葉っぱが日本産広葉樹最大の掌状複葉で、しかも対生している。
冷温帯の山地の谷沿いに普通に自生する。この巨木も沢沿いにそびえたつ。
よく似た葉っぱホオノキ(朴の木)があるが、あちらは「モクレン科モクレン属」で、葉っぱは一枚ずつが独立する単葉だが、トチノキは5枚以上で一葉の掌状複葉となる。
温帯の寒地に自生するので、尾張の涼しい谷沿いで見ることが出来る。
複葉と単葉の違いはあるが、あれだけ大きな葉っぱに成長させるには、大量の水分がいるだろうことは容易に想像できる。
沢沿いにある植物にはそれぞれ理由がある。
そもそも、軽井沢は浅間山の麓にある。すでに軽井沢駅で標高900m、周辺の森は1100m辺りまで広がる広大なエリア。写真はGoogleEarth。
地質は浅間山の噴火により火山岩がほとんどで流紋岩、デイサイト、安山岩など一皮むけば火山岩。
平安時代から現在まで噴火を繰り返すバリバリの活火山。火砕流で出来た地層もあり南九州のシラス台地のように地質が柔らかい。
河川の浸食でU字谷を形成して、想像以上の谷の深さに驚く場所もある。
観光地「鬼押し出し」は江戸時代の天明3年(1783年)の安山岩の溶岩流による大地。まだ新しい溶岩で風化が進まず植生は乏しい。
この野鳥の森は、中軽井沢駅を北に向かった浅間山の麓にあり、離山(はなれやま)という側火山にも近い。
永年の積み重ねで腐葉土が覆っているのか植生は豊か、カラマツが人工林!?として植わっていたらしいが、多種の野鳥が訪れやすいようにと、落葉広葉樹を植えて整えた。
そのお蔭か、年間を通じて80種ほどの野鳥を観察できるらしい。季節は冬から春がお勧めのようだ。
なるほど、小雨降る盛夏は鳥が少ないということか・・・今回は森に自生する樹木をご紹介。
最も名が売れているのが、
「ハルニレ」ニレ科ニレ属、冷温帯の谷沿いや湿った場所に自生する落葉高木。
湿地周辺でサワグルミなどとしばしば林を作る。特徴は、左右非対称の大きめの葉っぱが特徴。
最初にこの樹木を知ったは、上高地の徳沢、梓川に近い扇状地だった。
秋の黄葉が美しい、ベンチに寝転んで鑑賞したことでとても印象深い。
軽井沢のハルニレは、野鳥の森に隣接するハルニレテラスというハルニレの自生地を利用したおしゃれなエリアで名が売れている。
写真はそのテラスのハルニレだが、敢えておしゃれな写真を掲載していない(笑)
「オニグルミ」クルミ科クルミ属、温帯の河原や谷沿い、寒い地の穏やかな川沿いに多い。
さきほどのハルニレとお友達!?の冷温帯にある「サワグルミ」かと思いきや・・・クルミのような果実でオニグルミだった。
森泉山の里に近い(標高は900mを切る)辺りの沢沿い。“温帯の寒い穏やかな川”にあたるか。
いずれも大型の羽状複葉なので、私には葉っぱだけでは見分けが難しい。
「カツラ」カツラ科カツラ属、冷温帯の山地の谷沿いに自生する落葉高木。
この樹木は岐阜にある籾糠山でしった。
秋の黄葉と独特のマルトールの秋の香りが麗しい。なんといっても葉っぱが円形のハート型であることが可愛い。
冷温帯で秋が近くなるとこの匂いを鼻で追う(笑)
野鳥の森を歩いていた時も、どこからから早くもこの香りに気が付いた。秋のお愉しみの一つ。
この写真は雨天時に森泉山の宿泊地の前にあったカツラの写真。雨を元気にはじく、葉っぱが印象的だった。
「コブシ」モクレン科モクレン属、温帯の落葉樹林内や湿った場所、寒地に多い落葉高木。関東では低地に多い。
「軽井沢町の木」らしい。
春先に白い大振りの花を咲かせるので、目立つ。軽井沢では4月上旬に咲いて、サクラと競演するらしい。
写真は森泉の麓だが、花の後の果実が見える。
まさに拳(こぶし)のように凸凹の塊で、秋になると赤く色付いて目立つ。
野鳥の森の雰囲気が伝わる写真、お気に入りのショット。
ハルニレ、カツラ、ミズナラ(カシワっぽいのもあったが)など落葉広葉樹の素敵な森。
渓流沿いには、黄色い実が目立ったウワミズサクラ、カエデ属(テツカエデ、オオモミジなど)、ヤマグワなど識別で来た。
クリの木もあったな。
軽井沢環境協会によると主な樹木は
天然カラマツ林(別荘地帯では人工林が目立った)、ハルニレ、ミズナラ、コナラ、アカマツ(やせ地)、トチノキ、シラカバ(高原のフロンティア)、ウラジロモミ(針葉樹林)・・・らしい。
確かに針葉樹林はあまり紹介しなかったが、カラマツとウラジロモミは見た。カラマツは人工林も多いらしいので、天然林との見分けがつかないが・・・
とにかく、なかなか素敵な森だった。 今度こそ、春に野鳥を楽しみに行かねば! 国設の野鳥の森へ、星野温泉へ(笑)
2022年8月21日[記]
現在地:空と雲と山歩き>森歩き>素敵な軽井沢 植生