カエデとは何か!?
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「オオモミジ」、10月下旬 南アルプス南部の前衛の山である鳥倉山の麓。
見事な紅葉だった。斜面にどんと大きく葉っぱを広げていて豪快な感じ。
一番有名はモミジは「イロハモミジ」、東北南部から九州の暖温帯の低地に自生し、寺社や庭木でもよく見かけるが、この種は丘陵地や山地に自生する。
葉が、一回り大きく葉片は幅広い。葉身は6〜12cm。イロハモミジから自然発生的に発生した変種らしい。
植物学的には、モミジはムクロジ科カエデ属、モミジとカエデはどう使い分けているのだろう。
モミジの語源は、『「もみづ」という動詞が由来。平安時代より染料として使用されてきたベニバナなどから染料を揉みだし水色に染み出すという言葉を『もみづ』と定義、染料が揉まれて染みだすように草木が色づいたさまを「もみぢ」として使われてきた』(もみじかえで研究所)
身近にあるあの美しい分裂葉を、イロハモミジやオオモミジと名前を付けたのではと自己分析している。
“イロハモミジ”は7裂葉と7文字のイロハニホヘトから、“オオモミジ”はそれより一回り大きいが理由。
実に文化的な由来。
時代を経て、現在では、葉の亀裂が深いものを“〇〇モミジ”、浅いものを“〇〇カエデ”と呼ぶようになった。
日本には、カエデ属は27種(By Wikipedea)ある。尚、“カエデ”は“蛙手(かえるて)”から来ている。
「ヤマモミジ」、11月初旬 日本海側の立山を望む来拝山。
オオモミジの変種。
北海道と本州北中部(青森から島根)、日本海側に多く分布する。
イロハモミジとオオモミジの中間型とみられている。(樹木の葉)
見分けは・・・
オオモミジは一重の鋸歯が丹精にならんでいるが、イロハモミジ同様に大小鋸歯が2重で、かつ粗い!(紅葉ハンドブック)、日本海側ということで同定した。
鋸歯が不揃いなのは、日本海側の風雪など厳しい自然環境と関係あるのか、樹高も高くで10m、5m前後が多いらしい。
本州でも太平洋側と日本海側で同種でも形状が違いがみられる植物は多くあるが、きっと気候が関係しているのだろう。樹高はその典型例。
街や神社仏閣でみるイロハモミジは人工的な美しさがある
が、山は寒暖差や日当たりという観点から色が鮮やかになる。
この個体も、赤と黄色と緑のまだら模様と元気な葉っぱが印象的だった。
「ハウチワカエデ」「コハウチワカエデ(板屋名月)」、夏の蓼科と秋の面の木平。どちらも標高1000mを超えた冷温帯。
ここからは、“カエデ”種。
裂片の先端が尾状に伸びずに、9裂を基本として丸みのある葉形になる。
団扇(うちわ)状にみえることが由来。
大きいのは写真にあるように手のひらサイズ。
カエデ属の特徴は、1.葉や枝は対生 2.多くは分裂葉 3.実は翼果と呼ぶプロペレ状 4.多くは冷涼な落葉樹林で紅葉(黄葉)が鮮やか(樹木の葉)
太陽光の確保できる場所、谷沿いや斜面に自生してるのが多い気がする。
「オオイタヤメイゲツ(大板屋名月)」、11月初旬 鈴鹿山地 御池岳 標高1000m辺り。
風流な名前。
本州(福島以西)と四国の冷温帯に自生。日当たりの良い場所を好む。ハウチワカエデ類の中では最も大きな木になる。
自生域では個体数が多いらしいが、ハウチワカエデとの見分けが難しい。
先日、蓼科で日本の自然100選という古い本をよんだら、御池岳の群落が紹介されていた。
このお山の紅葉時期に歩いたことがあるので、写真をさばくって見つけた。
横幅があるので、葉先を繋ぐとより丸くなるので「名月」、
板葺きの屋根のように規則的に葉がならぶ様子から「板屋」と命名したらしい。(植木ペディア)
実に名前の付け方が興味深い。
これも冷温帯にあるので、日当たりが良くて寒暖差がある場所に自生するものは、ほんとうに美しい。
美し写真が撮れたら、いつか置き換えたい。
「ウリカエデ」「ウリハダカエデ」、ウリカエデは裏山のみろくの森で花がついているウリハダカエデは御池岳の西側にある高室山。
福島県以西の本州、四国及び九州の温帯に分布する。
若木は瓜のように緑色の樹皮を持つことから"ウリハダ”と呼ばれる。
葉の形状にカエデのイメージはない。
ただ、ウリハダカエデの葉は12cmと比較的に大きい。5角形状で葉は3〜5裂となる。
日当たりが良ければ、美しい赤になるが、林内では黄葉になる。
ウリハダカエデに似た葉は、「ホソカエデ」「テツカエデ」とあるが、
ホソカエデは中央の破裂が長くひし形になる、テツカエデは多雪地帯に多い珍しいカエデらしい(紅葉ハンドブック等)
「イタヤカエデ」「オニイタヤ」、緑は蓼科新湯温泉、黄葉は上高地でどちらも冷温帯。
イタヤカエデは北海道〜九州の冷温帯、オニイタヤは北海道南部〜九州の山地・丘陵に普通らしい。どちらも高木になる。
オニイタヤはブナクラス域に多いので、やはり冷温帯に多いか。
葉身は5〜18cmと大きくなるが、最大の特徴は、葉が全縁。他とは見分けやすい。
葉の形状に変種が多く、7亜種に細分される。オニイタヤはその一つ。
イタヤは板屋だろう、オニは鬼で葉先の尖りが角にみえたか。
さらに伸びると「イトマキイタヤ」となる。
気のせいか上高地でよく見かける印象がある。
「コミネカエデ」「ミネカエデ」
紅葉はコミネカエデ 面の木平 標高1200m、黄葉はミネカエデ(?)涸沢Sガレ辺り 標高2000m超。
山を歩いていてもブナやミズナラなど出現しだすとコミネカエデも良く見かける。
これも紅葉がとても美しい。5裂するが中央が尾状に伸びているので判別がしやすい。
ミネカエデは亜高山帯で森林限界に近づくと自生しているので、そうそうお目にかかれない。
この写真は、横尾から涸沢へ向かう途中のSガレを超えたj一息ついて空を見上げた時に撮った写真。
明らかにコミネカエデより横幅があるが、紅葉でなく黄葉している点、オガラバナ程大きくなかった点から、ミネカエデかな?
森林限界を超える頃になると、そうそう葉っぱもじっくり観察している余裕がない
「オガラバナ」、
標高2200m涸沢カール直下で森林限界に近い。
ミネカエデと共に亜高山のカエデ属の代表格。
8〜15cmと大型で、不揃いの5中裂する、なにより紅葉する。
という安直な選択肢からオガラバナとした横幅もあるので、おそらくそう。
由来は『樹木が麻幹(おがら:皮をはいだ麻の茎のこと)のように柔らかいことから(By Wikipedia)』
花が総状花序で10〜20cmの円柱形に直立するらしい。これはぜひ見てみたい。
ミネカエデも葉の上に花を直立させるので、亜高山ではその必要性があるのかも知れない。
ただ、疲れているので、じっくり現場で考えるエネルギーがない(笑)
これもいつか学びたい・・・花の位置と虫の関係。
カエデ属・・・なぜ対生なのか、なぜ分裂葉なのか、花の付き方に差があるのか、この先はどう変化していくのか・・・知るほどに知りたい領域が広がっていく・・・楽しい
カエデ属27種+αを垂直水平分に表現してみた
2023年10月8日[記] 2024年8月25日[再編集]
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