亜熱帯ジャングルと山地植生

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これぞ、ジャングル
尾張、いや本州、九州ともまったく違う植生に驚く。
ジャングルは本来、「熱帯多雨林」と理解するのが一般的。ここは亜熱帯の石垣島、沖縄最高峰の於茂登岳の登山道の風景。
熱帯ジャングルには入ったことがないが、大きな葉っぱの常緑広葉樹やシダ類がうっそうと生い茂る様はまさに、ジャングルのイメージ。
季節は4月末、温帯なら新緑が美しい季節だが、亜熱帯の石垣島ではあまり関係ないように見える。

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なんといっても、シダ類が大型。これがジャングルのイメージの決め手といってもよい。
大きなシダの葉っぱは、「ホソバリュビンタイ(細葉竜髭)」:リュウビンタイ目リュウビンタイ属、奄美諸島から南、台湾とフィリピンまで自生する大型のシダ。
草丈3〜5m、根茎は塊状で直立し、葉は被針型、葉身は2回羽状複葉(林野庁 西表島センターHP)・・・葉身だけで3〜5mになることもある。
てかてかした元気そうな葉っぱが、亜熱帯を感じさせる。
亜熱帯という太陽光が大量に降り注ぎ、スコールなど雨も多く、生殖に「水」が必要なシダ類も大きく育つのだろう。
あったかくなるほと植物の種類が増えるが、シダ類も増えていくに違いない。
シダ類もPPGという分子系統解析が進んでいて、整理されている。裏庭にあるウラジロたコシダはウラジロ目も原始的らしいが、リュウビンタイ目はより古い。

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高木で目立つ・・・ヤシの木のようにも見えるが・・・
「ヒカゲヘゴ」:ヘゴ目ヘゴ科ヘゴ属、常緑の木生シダで日本では最大のシダ植物、奄美から沖縄、八重山、中国福建省、台湾、フィリピンに自生。
高さは最大15m平均で5〜5mにもなる。ジュラ紀の恐竜のいた時代の絵にに出てきそうなシダ。ヘゴ目は1億年前に分化したシダ類の中では比較的新しい種であるようだが・・・
幹は細い根っこが絡みあってできているらしい。空気中から水分を吸収する。(かごしまフラワーパークHP)
新芽がすごい。思わず写真を撮るのに自分の拳を比較してみた。
石垣島では本土でシダ類のゼンマイを食べるように、このヒカゲヘゴの新芽も食べるらしい。納得。

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シダ類を離れて、種子植物の被子植物で、常緑広葉樹の代表格は「スダジイ(イタジイ)」:ブナ目ブナ科シイ属、温帯から亜熱帯まで幅広く自生する。
奄美以南をオキナワシイと分類することもある。このあたりではイタジイと呼ばれる。
特にこの巨木は、於茂登岳で最も有名なイタジイ。樹齢は不明だが、とにかく迫力がある。
葉っぱも大きいので、本当にシイの木か!?と思ってしまうほど。
あっちこっちから複数の種類の葉っぱが出てきているので、どれがシイの木かわからないが(笑)
沖縄北部や西表島では優占種らしい。国頭村での琉球大学の調査では約32%がこの種類らしい。
温暖な地域をこの樹木は、2万年前は九州南部が北限だったのが、今は佐渡島でも北上している。
温暖化が進むと、シイの北上は進むかもしれない。

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「ギランイヌビワ」:イラクサ目クワ科、石垣島・西表島以南 東南アジアからオーストラリア北部に自生すす。
板根がよく発達する。イヌビワの仲間には幹に直接、花をつける種が多いが、この種のように太い幹に花をつける種は少なく、本種の他にアカメイヌビワがある。
このような花の付き方を「幹生花」と呼ぶ。イチジクコバチ類が送粉し、果実はオオコウモリ類が食べて種子を頒布する。(西表島の自然HP)
あれは実と思っていたら花か、イチジク状花序と呼ばれて内部で花が咲く。
本土で幹から直接花をつける種類をあまり見ないので、これも熱帯性の特徴か。本土のイヌビワも南からきているのか。

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「リュウキュウチク」:イネ科メダケ属、琉球列島の固有種。
平坦な山頂部に近づくと密生していた。密度が濃く生えて、幹が固いので、掻き分けながら歩かねばならないので苦戦した。
葉っぱは上部にした出ていないでの、竹の葉で切り傷ができることはないが、時折折れた幹が刺さるので痛い。
視界を遮るほどに密生するため、垣根や庭木に利用されるらしい。(樹木図鑑ウィキペディア)
タケノコは食用にもなる。
なるほど、リュウキュウチクのジャングル。

山頂部はこのリュウキュウチクに占領されていて見晴らしがよい。石垣島最大の観光地の川平湾が見えた。
実はまだまだ知らない植物もたくさんあった。
気候が違うと植生が変わる、それがここまで変わると今までの山歩きとまったく違う世界の中を歩けてとても楽しい。
亜熱帯の草木や花、蝶も見かけたので、いつか記録しよう。
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2023年2月4日[記]〜FIJの「やんばるの森の現在・過去・未来」講座を受講、過去の写真整理を兼ねて記録アップ

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