秘密の花園
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■ 新生代新第三紀の花園 ■
新生代新第三紀、600万年前〜300万年前、この地方には東海湖という大きな湖があったとか。
その後、100万年前に伊豆半島が本州に衝突して南アルプスや中央アルプスが隆起をはじめ、木曽川や飛騨川が谷を深く刻み、
周辺に砂礫層や丘陵地帯ができ、湧水が湧き出るよになり、湧水の湿地が広がった。
そんな自然史の中、この一帯にだけ分布が限られる植物がある。「東海丘陵湧水湿地群」と呼ばれる植物群。
木曽山系の末端にある「みろくの森」はまさにその中にある。朝夕に物思いにふける散策場所。
3月中旬から4月上旬にかけて、その植物群のなかで、ひときわ優美な花を咲かせる樹木が自生して群生する谷がある。
私にとっての「秘密の花園」 !
豪快でもなく、ぼわっとした、そう「夢心地」な感じがそう思わせるのか !?
シデコブシ: モクレン科モクレン属、モクレン科は被子植物の中でも古い時代の種。
モクレン同様、白い、時に帯紫色の花を咲かせる。が、モクレンとは違う。
遠目からみると色合いはソメイヨシノの白に似る。
ただ、ポツンポツンと一つづくの花は距離を置き、花そのものも大きめで、
空に浮いている感じ、ぼわっとした「夢心地」な感じはここから来る。
花は妖艶だと思う。
葉に先立って枝頭に微紫を帯びた花径7〜10cmの白色花。
花被は12〜18片、倒披針形、集合花は3cm、(APG樹木図鑑)
雄蕊と雌蕊は約30〜50個、雌蕊は雄蕊よりも早く機能するため、自家受粉しない自家不和合性。花の香りは弱い。(Wikipedea)
妖艶な感じは、この花被がそう思わせるに違いない。モクレンは花被が6〜8片で広卵形、その違い。
薄紅を帯び白く、風に任せてなびいているその姿が良い。
蕾も、若い花も、雌蕊が成熟した花も、それぞれが絵になる。
これがお気に入り
ヒマワリやガーベラのように、硬めの花弁がどばって開いて頑丈なイメージでない。
柔らかい、
しなやかな、
なにか静かな、
そして、情緒的な、
この佇まい。
この静かな小さな谷、おそらく遠い新生代の頃からある
その頃から、何百万年も咲き続けていた違いない、そんな樹木の花、
一人、花を愛でながら(好きな言葉だ)、艶やかになる季節を歩く時、
ここを勝手に「秘密の花園」と呼ぶにふさわしいと思っている。
若い頃は花は綺麗だ、で終わっていた。花を愛でるなんて軽い言葉だった。
年齢を重ね、命の大切さに気付き、植物のしたたかさ、生存戦略を知るにつけ、
何世代も何万世代も子孫を残し、今も艶やかな花を咲き続ける樹木たちの生きざまを知るにつけ、
・・・花の美しさの本当の意味を知ると、「花を愛でる」の意味がわかる。
2020年4月4日<記>
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