坐漁荘

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西園寺公望の別邸です。
所在地は清水市興津清見寺町で、駿河湾に面した好立地でした。
建設年は大正9年(1920年)で、この村に昭和46年(1971年)に移築されています。

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明治村開村50周年事業の一貫で、保存修理が行われ、2014年春に再公開されました。
さすがに、“最後の元老”といわれた西園寺公望さん、
立派なお屋敷で、造りもなかなか工夫を凝らしています。気に入りました。


外見は、木造桟瓦葺で外板は檜の皮張りで、純和風な造りです。
まさに、小学校時代にお金持ちの友達の家がこんな感じでした。
家の前後には庭があって、ぐるぐる回って遊びんでいたな〜
今思い起こしても、立派な庭だった。なにやら懐かしい。

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「坐漁荘」とは、太公望呂尚の故事にちなみ「なにもせず、のんびり座って魚をとって過ごす”という意味。
もともとは、海を眺める場所にあり、のんびり過ごすにぴったりの名前でした。

玄関には、武田竹山に篆刻した扁額が飾ってあります。



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さすがに、リニューアルしただけのことはあり、新築のすばらしい別邸に仕上がっています。
お気に入りは、このお庭
庭も再現しているようですが、樹木を低く抑え、駿河湾が遠謀できるような工夫がしてあるそうです。
いわゆるお寺の庭園などでよくある借景というやつでしょうか、今では駿河湾の変わりに入鹿池がその役目を果たしています。
そんな周辺環境まで配慮できるところがこの明治村のいいところです。

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お若い頃に欧州へ遊学して洋風生活に親しんだからでしょうか?
晩年の別邸に、洋間を設けています。
洋間のランプもレトロ感がたっぷり。
アンティークさ加減がとてもよい。新しくもなく、古臭くもなく…

和室の欄間も手の込んだものでした。竹を薄くきったものをベースに木の枠をはめたもので、デザイン性もすごくよかった。<解説のお姉さん談>

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建て物にもいろんな工夫があって、骨組みには斜め木で補強してある耐震補強が施されています。
上下階の南側には、紫外線を透視する「並厚ヴァイタガラス」は使用されており、日光浴ができる画期的なものだったそうだ。

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引退後も、要人が訪問してはいろんな相談事をしていたそうだ。
昭和初期に首相の座についた近衛文麿さんも、この元老の後ろ盾だった。
この椅子に腰かけ、庭やその先の駿河湾を見ながら、なにを語らったのでしょう。
激動の明治、大正、昭和を知っているこの方、
最後の言葉「いったいこの国をどこへもってゆくのや」はきっとここでつぶやいたに違いありません。


2014年5月4日【記】
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