涸沢と北穂高方面

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2007年9月24日(月)〜25日(火)、曇り。
初めての涸沢と穂高、ゆっくり楽しもうとテントを担いで行きました。
紅葉にはまだ早いが、中腹は色付きはじめ、そう暑くもないのでさわやかに歩けました。
クライマー憧れの地を充分楽しみました。

上高地・河童橋 
美しい自然が残り、岩の殿堂穂高をめぐるこのコースはたいへん有名です。
歴史的にも、自然学的にも、文学的にもたくさんの本に紹介されておりまる。
河童橋から梓川を眺めながら、登山道(遊歩道)はスタートします。
上高地・遊歩道
上高地は江戸時代、全国的に有名な信州カラマツの種子採取小屋から始まったようです。
その後、明治政府は国有林保護活動に動き出します。
この針葉樹の樹間をめぐる遊歩道も保護活動があってこそ今楽しめるのです。
上高地の植生
河童橋の上流と下流で植生が変わります。
下流はシラビソなどの針葉樹、上流はケショウヤナギなどの広葉樹。
本来、上流も針葉樹へと森林以降するのですが、梓川が氾濫し土壌が安定せず、初期の森を造る広葉樹が繰り返し再生されるようです。
ここ数年は洪水から山小屋やホテルの被害を抑えようとする「林野庁」が河川整備を推し進めています。
上高地は全国でも数少ない「環境庁」直轄地で、自然を残そうとする環境庁と林野庁は対立関係にあります。
この日もブルドーザーが河原をいじってましたが…。
その向うの常念と梓川はたいへん絵になる風景ですが、将来どうなることか。
徳沢ロッジ
河童阿から約2時間で徳沢に到着します。
外来の風呂があるようで、遊歩道に看板がありました。
雰囲気のあるロッジだし、帰りに休憩によるのにいいかも知れません。
徳沢園
ここは明治政府の森林保護の煽りで、林業が成立しなくなり、牧場としての歴史がある為、りっぱな広場があります。
今はテント場となっています。
林業から牧場、牧場からキャンプ場へと時代の流れに翻弄される上高地の一面を見る思いです。
小説「氷壁」の舞台でもあり、遭難した小坂の火葬や囲炉裏端での魚津氏の無念の思いが蘇ります。
新村橋
徳沢を過ぎると、この橋の横を通ります。
又白谷を通り、前穂高の北尾根を巻いて涸沢へのびるルートです。
いつか行くとして、今回はわたりません。
横尾
河童橋から約3時間で横尾です。
穂高と槍への分岐点となります。
これから行く屏風岩と横尾尾根を望むことができます。
横尾大橋
横尾山荘でカレーライスを食べ、お手洗い(チップ制)を済ませて、気合を入れてからこのつり橋を渡ります。
ここから本格的な山道となります。
横尾大橋から梓川 橋から梓川を望みます。
河原の石が不自然に山盛りになってるのは、気のせいか。
あのブルのせいか、川の自然の力か

横尾尾根
横尾尾根沿いを進みます。
針葉樹林帯を歩きますが、まだ標高差はありません。
3連休最終日か、団体さんとすれ違いが多く、狭い登山道で待ちつ待たれつでたいへんです。

屏風岩
左に屏風岩が迫ってきます。
数ある屏風岩を見ましたが、その存在感は圧倒的です。
本谷橋と横尾谷
横尾やから約1時間で本谷橋です。
ここららは、ぐいぐい標高をあげていく本格的な登山道となります。
橋から横尾尾根(左)を望みます。

横尾谷と南岳?
横尾谷に上流部分を望むと南岳を正面に見据えます。
3000m級の山は迫力の迫力が伝わり、穂高への期待が高まります。
ナナカマド
このあたりから、ナナカマドの赤い実が目立ち始めます。
涸沢といえばナナカマド!?

涸沢
屏風岩を廻り、北側に進路をとると“涸沢”に出ます。
本来、涸沢はこの沢を指し、なぜか涸沢カールを含む広範囲な場所を「涸沢」と呼ぶようになってしまいました。
遠くにカールが見え始め、感動します。
紅葉の始まり
まだまだ紅葉は先ですが、時々黄色や紅に色着く木にであえます。
カールと紅葉の始まり。
涸沢到着
河童橋から約7時間、到着です。
テレビや写真でみた風景がいややっぱりそれ以上の風景が広がります。 紅葉は中腹が始まったばかりですが、このカールの底が染まれば確かに相当のものでしょう。
今年の秋号「JOY Autumn」が「日本には涸沢の紅がある」とうったっています。
涸沢カールと穂高連峰
日本最大のカール、プレートがぶつかり合い、盛り上がった褶曲山脈で、氷河の侵食と岩の崩壊作用にて今の姿があります。
岩の殿堂といわれるこの姿、できたままの100万年前の姿がそのままここにあるようです。
北穂高と私
テントサイトにテントを張り、隣のお兄さん(尾道から来た)と感動しながら、写真を撮っていただく。
北穂は初心者コースらしいが、結構急坂が見て取れる。
テントサイトは連休明けのせいか、10〜15張りと極端に少ない。
北穂穂高へのガレ場
翌朝は北穂高【3106m】へ挑戦です。
山頂付近はガスっています。
ガレ場をひたすらジグザグに登ります。
このガレを超えると鎖と鉄梯子の更なる急坂となります。
朝の穂高
穂高に朝日が当たり、穂高の岩稜が鮮明となり、迫力が増します。
典型的な崖錐、岩場から崩落して岩屑が堆積して作る半円錐上の地形で、すっきり伸びる白い線がたいへん印象的です!
古い崖錐 崩落が落ち着き安定した崖錐には、砂礫や岩屑の進入が減り、植物の活動が活発になります。。
下部にはナナカマドやミヤマハンノキなどが発達し、秋になると見事な紅葉を見ることができるわけです!
黄葉
高度がどんどん上がるにつて(息も上がりますが)、カールの底や崖錐の全体像が見えてきます。
中腹あたりは黄紅に色ずく低木に出会います。
なかなか綺麗です。
霜焼けのオヤマリンドウ
穂高はもともと溶結凝灰岩(火成岩)を主体とし、土壌が安定した場所が少ないので、高山植物はやや少ない。
もっとも秋ですし、これはという花には出会いませんでした。
唯一、これだけがおやっと思った花でした。
ブログでのご教授にて「霜焼けしたオヤマリンドウ」らしい。
山にはいろんな現象があるのだと関心することしきり。
常念を望む
常念山脈も朝日を浴びて美しい。
先月、東側からも見ましたが、この西側からもピラミッド型です
秀麗な山容は一目で分かり、なかなかかっこよい。
高度感
梯子を超え、鎖を伝い、どんどん高度をあげます。
上る前からかかっているガス帯に突っ込んできました。
時々涸沢側は風でガスが吹き飛び、眼下が開けます。
ちょっと怖いこの高度感。
すれ違った夫婦ずれの奥様が怖いと座り込んでいました。
穂高の主稜線はもっとすごく、この比ではないらしい。
3000mあたりで撤退
山頂から下山する数人の方は皆、山頂はガスっているとおっしゃる。
この日は上高地まで帰る必要があったし、ピークハントが主目的ではないので、この辺り(標高3千)で折り返すことにしました。
いつか紅葉の最盛期に訪れ、この超有名なコースを再度楽しみたいと思います。

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