海上(かいしょ)の森

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2007年7月29日(日)、曇り。
愛知万博の遺産である、日本の代表的里山、愛知県瀬戸市にある「海上の森」。
遠い昔は、このあたりまで海であったことからこの名前があるそうな。
標高は最高所でも300m代、瀬戸市に隣接した530Haにも及び里山です。

里山という場所
この地は本来、愛知万博の予定地でした。
ここを開発して、万博のパビリオンを建て、その後は住宅地とする予定だった。
オオタカの営巣が発見され、反対運動が起こり、メイン会場が西(長久手海上)へ動きました。
この森は規模を縮小して、瀬戸会場とした、自然との叡智を謳う、サブ会場となったのです。
ほとんだが古い人工林

江戸時代は禿山だったそうです。
瀬戸は古来より瀬戸物が盛んで、窯の火に木材は必須だったのでしょう。
明治の先人が植林などの努力の末、緑の里山が復活せせてきた歴史があります。
針葉樹もありますが、このような本来の広葉樹林帯にも出くわします。
山道の様子
この里に特に変わった自然はありません。
常緑広葉樹の森は、高木はコナラ・アベマキ、低木はヒサカキ・リョウブなど、自然本来の姿を見ることができます。br>
沢の様子
この里山から奥は山地が続きます。
小さな渓流や沢などもあり、たくさんの動植物が集まります。
早朝から川辺でカメラを構えている方もいました、鳥か魚を狙っていたようです。
大正池(築水池)
砂防ダムが池を造ります。
この貯水池もそうとう古いのでしょう。
人工池も時が経てば、ある意味“神秘的”になります。
地元ではこの姿から「大正池」と呼ばれています。
車の通らない林道
林道も、万博以降は通行禁止です。
年が経てば、どんどん自然が復活してくることでしょう。
ゴマダラカミキリ
林道も歩いていても、街ではみかけない虫もいます。
ふっと、前を虫が飛んで横切った虫がいました、ゴマダラカミキリです。
昔、父親に連れて行かれた松尾山ではじめてみた虫です。
あたりまえの虫があたりまえのようにいる、これが里山でしょう。
へクソカズラ
ヘクソカズラ、はっきり言って雑草です。
万葉集にも詠まれる花ですが、悪臭が故の名前らしい。
あまりにかわいそうな名前の付け方です。
別名は「早乙女花」らしい、ちょっと両極端ですね。
オオマチヨイグサ
オオマチヨイグサ、北米原産の大きな花です。
どこでも見ることができるようですが、夜咲く花なので、この早朝はしぼみかけなのでしょう。
里山だからこそ見れる花かもしれません。
ツユクサ
ツユクサ、これこそ雑草です。
でも、なかなか姿の良い雑草だと思います。
早朝に咲き、午後にしぼむ、はかない花です。
俳諧では、はかなさの象徴、秋の季語です。
里山サテライト
この里山は、“自然保護活動”の象徴です。
中心地には里山サテライトと呼ばれる古い民家を改築した集会所も設置されています。
この早朝は空いたいなかったが、開放してくれているのか?
最新式トイレ
これは、立派な建物ですが、コテージではありません、トイレです。
雨水を貯蔵し、水として使い、廃棄物を濾過・再生して、土に返しています。
循環式トイレで、最新型のエコトイレなのです。
海上の里

ぐるっとまわって海上の里といわれる人里に来ました。
棚田や畑で、人が農作業に勤しみ、猫が道端で日向ぼっこをしています。
これぞ、“里山!”
お地蔵さん

道すがらには石灯籠や秋葉神社もひっそりとあります。
道端には、お地蔵さんもあり、きれいな供花も添えてあります。
土着の信仰がまだ活きていることを、この鮮やかな花々が教えてくれます。
このあたりまえの自然や文化がこの里山にあります。
「海上の森」はそんな格好の場所と時間を提供してくれます。

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