ツェルマットで初トレッキング

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■2008年8月4日〜9日まで家族でツエルマットに滞在しました。
あこがれのこの地ですこしばかりのトレッキング


ツエルマットは高校時代「ツエルマットの夜」なるジグゾーパズルを作ったことをキッカケに名前を知ります。
月明かりに雪が白く反射しくっきりとそのシルエットを浮かばせるマッターホルン、日が落ち村の明かりが華やかに点ります。
1つ1つを組み合わせながら、なんて美しいところなんだろうと思いました。
あのパズルはもう見なくなったけれど、記憶の中にははっきりと残っています。





ツエルマットはヨーロッパアルプスの4000級の山々のほとんどがこの村を囲むように連なり、その高峰の間を氷河が流れ出すという豪快な景観を見ることができる谷底に位置します。
交通手段も村から、鉄道・ゴンドラ・ロープウエイが放射状に展望台まで伸び、それぞれの駅間にはトレッキングコースが網の目のように張り巡らされています。 真ん中あたり右へ、モンテローザ(4643m)・リスカム(4527m)・ブライトンホルン(4164m)・マッターホルン(4478m)と名だたる山が連なります。
この日、8月5日(火)はコースが変化に富み、家族でも歩けるゴルナーグラード鉄道を使ったコースを選びました。(中央赤い線)
ローデンボーデン(2815m)からリッフェルアルプ(2211m)までの通常コースからちょっとした寄り道を入れて約7km、時間にして約5時間の雲上トレッキングでした。


トレッキングの前に、最上駅のゴルナーグラード展望台へ登ります。
当日は上空が雲で山頂部が隠れていました(写真は8月8日)が、真ん中にゴルナー氷河、左にモンテローザ、右にリスカムがひかえます。
氷河の流線型が見事で、何万年も時がとまったこの空間は、それだけで独特の雰囲気が漂います。

氷河をじっとみていると融けた水が独特の曲線を描きます。

温暖化の為に溶け出しているのでしょうか?
 初登頂を果たしたウインパーの著書にも既に氷河の後退のことが触れられているとか、地球の温暖化が進んでいるのか、次なる氷河期のちょっとした変動なのか?

トレッキングコースはここからも始まりますが、我々は一駅電車で下りて、ローテンボーーデンからスタートします。
ちょっと下るとすぐに、「リッフェル湖」となります。
“逆さマッターホルン”が有名で、この日は山頂部が雲に隠れていましたが、湖面は静かに倒影をしてくれてました。
倒影というと、07年夏にえらいしんどい思いをして歩いた鏡平を思い出しました。
苦労してのぼった分だけ、池に映える槍や穂高は美しかった。

湖のほとりには、「ワタスゲ」がそよ風に吹かれています。
山頂部が見え、池にこの純白のワタスゲが、それは絵になる美しさでしょう。











高山植物も盛夏を過ぎたとはいえ、たくさん咲いていました。 左はアルパイン・ムーン・デイジー、フランスギクの高山型、右はアスター・アルピヌス、ミヤマアズマギクの近種のようです。













最初はお山を真正面に眺めながらゆるやかな下りが続きます。
絵に描いたようなトレッキング道が続きます。
真正面はマッターホルンですが、左側はブライトンホルンを望みながらの道となります。
アルプスの女王を守る騎士にたとえられるようです。
右の尖がりはクラインマッターホルンで、ここまでロープウエイが通じています。
なにやら、そこからブライトンホルンを登れるそうな。
まだまだお花は続きます。
左は「センペルビムブ」たくさんあちこちに咲いていました。赤い色がとても鮮やかです。
右は「カンパヌラ・ロボイダリス」、キキョウの一種です。
このコース、岩場と放牧地を縫うように歩きます。
放牧地には、まだまだセイヨウタンポポをはじめとした花々がちらほら、きっと7月はさぞやみごとなお花畑がみれたのでは。

白黒のヤギや羊を眺めながら、「アルプスの少女」を思い出し、一人ほくそ笑むでのす。
白黒のヤギが出てくるあのエンディングテーマ!
あのほのぼのとした感じが心のオアシスであった。

ローテンボーデンから一つ下った駅、リッフェルベルグに家族を宿に帰して、一人で更に下って行きます。
こんな高山にこんな立派な礼拝堂に合掌!?して横を通りすぎます。
この駅からマッターホルンを真正面に見据えたコースへ変ります。

小さい花がこの一塊で一株を造るこの花。
なかなか可愛い花です。
「フィルドエンツァン」というそうです。

コースは谷へ入り始め、山々の前に稜線がせり出します。

深い谷を望める稜線をツエルマット村側へ道は反転します。
左側に谷が見えて、高度感がすごいです。
この写真ではなかなか伝わりませんが、ゆうに1000mはあるのでは。
足元に注意してあるかねば、足が少しすくみます。

少し歩くと、眼下にツェルマットの村が見え始めます。
谷底の村であることがよくわかります。

















白い花、「ヘレクラウム・スポンディリウム」、日本のハナウドと同種です。 黄色い花、「フォロニクム・クルシイ」、キク科の大きな花でした。 茶色の花、「シレネ・ブルガリス」、アルプスではポピュラーな花で鍔が袋状になっているのが特徴です。
あの花はやっぱり季節はずれで、しかも自生の花は激減していると聞いていたなあと、半ば諦めていたら発見!
左が自生していたもの(2株発見)、右が高地の老舗5つ星ホテルの前に観賞用に咲いていたものです。
「エーデルワイス」、スイスの国花。
アルプスの女王!1600m〜2800mあたりの日当たりの良い乾燥地に咲くようです。
個人的にはそう造形美がすばらしいとは思えないのに、なぜここまで有名なのかと疑問に思っていると、やはりそこには深い意味があるようです。
スイスには純潔の乙女と結びつける伝説が語り継がれています。
アルプスの男性がその白い花を帽子に飾るのは、最も美しい乙女を妻に迎えたいという思いを表しているのだそうです。

あの谷の向うに、目指すリッフェルアルプがあります。
森の中の駅で、森林限界との境目にあたります。


































「スカビオサ・ルキダ」、ようはマツムシソウが最後を飾ってくれました。
最後の最後まで、この日は山頂部を見ることができませんでしたが、充実したトレッキングでした。

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