山門水源の森から東ケ谷山へ

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山門水源の森は、琵琶湖の北、福井との県境に近い。奥琵琶湖になる。
炭焼きで人が住んでいた時代もあるが、現在は「山門水源の森を引き継ぐ会」が自然を守ってくれている。
里山でもあり、日本海側に近く積雪地帯でもあり、植生は実に豊か。春の花でリフレッシュするために、森を歩きその奥の東ケ谷山へ。
春の花にフォーカスした記録としよう。

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ヤマハンノキ:カバノキ科ハンノキ属
標高200m辺り、森の入口の沢沿い。茶色で垂れ下がり特徴的。
4月頃で葉の展開に先立つ。雌雄同株。雌花は長さ7〜9センチで、枝先にある葉の脇から垂れ下がる。雌花はその下で上向きに咲く。雌雄ともに紫褐色。

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キブシ:キブシ科キブシ属
これも森の入口、沢沿い。ヤマハンノキの隣にあった。
葉が芽吹く前に淡黄色の総状花序に、スズランの花をクリーム色にしたような可憐な花を密に垂れ下げる。雌雄異株。
雌花は少し緑ははいるので、これは雄株か

ハンノキやキブシの花は下垂する。両種とも「風媒花」。
風に吹かれて花粉をばらまくには好都合な形状であるに違いない。
たまたま川べりにいたが、風が吹き抜けて、きっと効率的に拡散できる。
森に入る前からそんな花が出迎えてくれる。

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トキワイカリソウ:メギ科イカリソウ属
標高250m辺り、入口から沢つたいに上ったことにある。構図的には美しく取れてお気に入り。
日本海側の多雪地帯に林内に生える多年草。
葉っぱがハート方で花と共に美しい。
四つのイカリは花の距で蜜をためる特殊機能がある。
そんな細い距にたどり着けるのは、口の長いトラマルハナバチの女王蜂など特定の昆虫。
特殊な花は特殊な昆虫をターゲットとして共に共生する。
強精剤、強精剤にもなるらしい・・・日本産は弱いようだが・・・ユンケルにも含まれる(笑)
女王蜂もそれを知っているのかも

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オオカメノキ:レンプクソウ科ガマズミ属
同じく沢沿いに白く輝く
葉っぱは大きく、カメの甲羅の様、花はガクアジサイに似る
花弁のように見えるのは直径2〜3センチの装飾花で五つに裂ける。実際の花は中央にある小さな両性花で、微かな甘い芳香がある。(植木ペディア)
白い大きな花に見せかけて、昆虫を呼び寄せる戦略。どの花も実に戦略家。

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ミツガシワ:ミツガシワ科ミツガシワ属
標高300m辺り、湿原があって、群落地らしい。
でもまだ咲き始め。湿原の春はこれから本番か。
多年生の水草、高さ30?ほどの花茎をたて、1〜1.5cmの白い花をつける。


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クロモジ:クスノキ科クロモジ属
標高320m、尾根道沿い、湿原を見下ろす山林
葉と花を同時に開花、雌雄異株、
開きそうな葉っぱと黄色い透明感のある花が印象的
柑橘系の香りで高級楊枝や茶花
遠目にこれからおぼる尾根と東ケ谷山が見える


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ヤブツバキ:ツバキ科ツバキ属〜暖温帯・亜熱帯、照葉樹林内に普通
ユキツバキ:冷温帯、多雪地のブナ林に普通

ここは標高320m辺り、日本海側気候でもあり、ユキツバキの南限域でもある。
よって両方が混雑してユキバタツバキもあるらしい
花が開平し雄蕊全体が黄色くて短いのがユキツバキ・・・たぶん

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トクカワソウ:イワウメ科イタウチワ属
標高360m辺り、斜面北側に群落
シカの食害を防ぐためのエリアに防護網がある
北陸から近畿にあって、葉っぱが広楕円系で基部は円形または楔型のものをトクカワソウと呼ぶらしい
きっとこれはそう

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シロモジ:クスノキ科クロモジ属
標高650m山頂、クロモジよりこの花が多かった気がする
葉の展開に先立って黄色い小花が群生する。これがクロモジと見分けるポイント
雌雄異株で雄株には雄花が、雌株には雌花が咲くが、雄花の方が一般に花数が多くなる。(植木ペディア)
これだけ咲いていれば、きっと雄株だろう

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タムシバ:モクレン科モクレン属
西日本の深山や日本海側の山地に多い
標高650m山頂に1本すっと立っていた。
樹高が高くなく、基部に葉っぱがないこと、花弁が細長いことからコブシではなくタムシバ

山頂には誰も居ない・・・少しかすんでいるが奥琵琶湖、その向こうに霊仙山や伊吹山がみえる
すっくと凛々しく立つその姿、青空にこの白いタムシバが印象的だった

2024年4月14日[登山日]  同日[記]

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