奥三河 天狗棚【1,240m】〜カエデ属が美しい〜

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2020年10月31日(土)、奥三河の天狗棚を歩く。標高はすでに1,100mで、いわゆる「ブナ帯」にある。
あまり足の向かなかった奥三河、今年の夏に研修で少し歩いて、カエデ類が多いと事を知った。秋に再訪して紅葉を楽しむ。
コースは、直登ではなく、南側斜面をトラバースして展望台へ、そこから尾根筋をゆっくり登り、最終ピークの1200高地まで約3km・標高差250m、ゆるゆるコース。

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登山口を少し登っただけで、「オオモミジ」:ムクロジ科カエデ属がお出迎え、冷温帯の山地か谷沿いや斜面に自生するカエデ。
イロハモミジより大型で破片は幅広い。
まだ黄葉…ブナなどの高木に囲まれて、お日様に十分まだあったっていないのか、紅色になると美しかろう。

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たぶん「オオイタヤメイゲツ」:冷温帯に自生する落葉小高木、ブナやミズナラと林をつくる。
ハウチワカエデとの見分けが難しいが、葉ややや横に広く、葉柄が長い。
ネーミングが印象的。「名月」は、丸い葉の形を満月、「板屋」は、雨も凌げる板屋根のように葉が密に付く様からという説がある。
紅葉の最盛期。天気も良いので、青をバックに写真の出来栄えも良い。
カエデ類の特徴は、1.葉と枝が対生 2.多くは分裂葉 3.実はプロペラ状の翼果 4.多くは落葉・・・分かり易い。
イロハモミジは料理に添えれるが、分裂葉、対生(2葉でワンセット)でSNS映えするからだろう。

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ほどなく、南側斜面をトラバースするゆるやかな道になる。まだ朝早いので、太陽の光が南側に差し込み始め。
カエデ類は谷沿いや斜面がすきなので、いろんなカエデの紅葉を楽しみながら歩ける。

「カジカエデ」:冷温帯に自生する落葉高木、サトウカエデ(=カナダ国旗)を連想させる端正な葉形。
これはまだ低木だが、20mの高木になる。紅葉は黄色から橙色。環境によってバリエーションが多いらしい。
15cmにもなる大振りな葉っぱは目立つ。
朝日をあびた黄色がキラキラ光っていて印象的。

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「メグスリノキ」:冷温帯に自生する落葉高木。三出複葉。カエデ類の中でも最も美しい部類に属する。
複葉なのでカエデっぽくないが、立派なプロペラ状の翼果が実るらしい。
「最も美しい部類」の由縁は、なんといっても、黄葉から赤紫そして、ピンクサーモンに近い色! 
大振りの樹なので、遠目でも目立つ。
今日はこれを見に来たと言っても過言ではない。
初めて見たが・・・うわさに違わず 美しい。

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倍以上の時間をかけて天狗棚の展望台へ 
このコースでここが唯一の展望が開けているところ。
標高1,180m、まだ80mぐらいしか登っていない。
南東側が大きく開け、奥三河の津具盆地から遠くは南アルプスまで見えるらしい。今日は見えないか・・・
眼下の錦の紅葉はニシキギの仲間のコマユミか、綺麗だ。
誰もいない展望台で、盆地の人の営み、折り重なる山波、紅葉を楽しむ。

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ここからは約1時間、天狗棚山頂までゆるやかな尾根道。
カエデ類やミズナラの林、常緑はツガを眺め歩きながら、秋風に少しふるえながらの稜線歩き。
この西側の井山には、その風を利用した風力発電基地がある。時折、樹間からそれを眺める風景が続く。
それにしても、今日は天気が良い。

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「コミネカエデ」:冷温帯に自生する落葉小高木。山地のブナやミズナラ林と混生。
中央の裂片の先が尾状に伸びているのが特徴。
亜高山帯にミネカエデがあるがそれの小型版、といっても5〜11cmある。
朱色になるらしが、この橙色も太陽に当たって綺麗。
高木にならないでの、まじかで見ることが出来る。

最高峰の天狗棚(1,240m)を過ぎると、幅広めの尾根筋、ブナミズナラの原生林の森を軽いアップダウンを繰り返しながら歩く。
大きなブナがあった。抱えても半分に満たなかったので、幹回りは3mはあるだろう。
何百年ここで生きていくのか・・・思わず見上げて暫し、眺めた。
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ゆっくり歩いて3時間、1200高地に到着。
展望はないが、ブナの巨木が控えている。

小さな三等三角点・・・
点名「三方ノ根」選点は明治38年5月4日、選点者 柴崎芳太郎!(Yamapのとあるメンバー調査記録を参照)
そうか、「点の記」で有名な国土地理院の彼の方が、明治時代に、ここで、測量したか〜
5月4日といえば新緑の季節・・・紅葉は最高だったが、さぞや新緑も美しいことだろう。

2020年11月1日<記>

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