蓼科山【2,531m】

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妻と娘に見放されたこの週末、八ケ岳に行きたくなった。
午後の天気が悪そうなので、選んだのは短時間で登れて未踏峰の蓼科山
2019年9月28日(土)、午前は曇りで午後から湿り気が南から迫ってくるので雲が出てくる予想。 
写真は早朝、ビーナスラインから左の蓼科〜八ケ岳連峰、山頂に雲はまだ掛かっていない。急ごう。 
蓼科山は独立峰に近いが、あの山頂部の高まりは、10万年前の粘り気のある溶岩ドーム。
山頂付近は溶岩が固まったトロイデ型、中腹は大昔の火山噴火で、火砕流などが固まったコニーデ型。
八ケ岳連峰は火山の山だが、意外に(地質学的に)直近まで活動が盛んだったわけだ。

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コースは、北側の7合目登山口から、樹林帯を通り、緩やか斜面を歩く。
将軍平からは傾斜が急に、おそらく溶岩ドームにさしかかり、斜度が上がった。
地質(国土地理院 地質図)は将軍平辺りまでは火砕流と軽石などの火山岩で白っぽい石が多い。
将軍平からは,10万年前の溶岩ドーム(頂丘)で
安山岩や玄武岩系の火山岩が岩塊斜面を形成していて、岩がやや黒っぽくなる(気がする)。

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山腹はツガが多い。 ツガ:マツ科ツガ属。
太平洋側の雨量の多い温暖地の尾根筋や斜面に群生する常緑高木。
コニーデのゆるやかな斜面に多い気がした。
直立して横に広く張り出し、やや丸みのある三角樹形、樹皮はやや赤みを帯び、葉が短く長さが不揃い…
登山道にも枝が張り出してくるので、歩きずらい(笑) でも葉っぱがとがっていないので痛くない(よく似たモミは尖っていたい)。
歩くコースは北斜面なので、日陰部は湿っていて、苔むす。北八ケ岳の特徴。
苔むすとってもコケの種類は300種以上あるらしい!

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コケもたくさん種類があって分からないが…わかるのはスギゴケぐらい。
…輪をかけてわからないのがキノコ!
キノコ5連発! 名前も素性もまったく分からない。
美しい写真になるようにカメラアングルにだけこだわりました。
いつか、種類や特徴そして名前がわかるよになったらこの記事もアップデートします(笑)。

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標高が上がってくると、白っぽい幹のシラビソが出てくる。
シラビソ:マツ科モミ属、枝が有毛(対ウラジロモミ)で葉が細く且つ間から枝が見える(対オオシラビソ)…
ツガの仲間のコメツガ:葉はより短く(対ツガ)枝に微毛がある。
シラビソ(モミ属)とコメツガ(ツガ属)の大きな差は…
モミ属は葉が吸盤状に枝につく、ツガ属は葉柄があり葉枕が隆起している…これが見分けやすい。
シラビソとコメツガは高山帯で混生するので、この写真内でもきっと混ざっている。
でも、樹木をしっかりみている余裕はありません。 標高が上がると急登になるからね(笑)。

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この山は岩塊斜面だらけ…! 蓼科山の最大特徴。
おかげで、3つの特性が出てきます。地質視点、植生視点、登山者視点。
まずは、マニアックな地質視点
写真は岩塊斜面、1メートル大の火山岩の塊がゴロゴロ、火山の溶岩が冷えて割れて積み重なる。
火山性の山はもちろん、氷河期の寒冷で岩が破壊された山などで見かけるようだ。
蓼科の山頂部は、地質が粘り気(玄武岩に近い?)が強い溶岩なのでより傾斜が強くなるのか。

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植生視点では、「縞枯れ」現象
八ケ岳では岩塊斜面が多く、縞枯山とネーミングされた山まである。
その溶岩ドームから振り向いた前掛山の山頂部に、白いラインが見える。
あれが縞枯れ…よく見ると立ち枯れて白くなった樹木の幹が列をなしている。
「自然を読み解く山歩き(小泉先生著)」によれば、岩塊斜面では植物の根っこが定着しにくく、強風が吹くと根っこが切れて樹木が立ち枯れる。
その樹が倒れると、その上の樹が強風を直接受けてまたいつか根が切れる…
そんな周期で立ち枯れが上昇していく。進み速さは年間1.7m〜意外に早い。
一方で立ち枯れた後にはその種の幼樹が育ち始め、立ち枯れの後を追うように成長していく。
よって白いラインは大きく幅が広がることなく上昇していくという不思議な現象。

登山者視点…これは、簡単です。
岩が1メートル前後あるので、登るも下るも難儀する。
次の石の選定を瞬時に判断するには頭をフル回転、
歩幅が上下する距離が大きいので脚の筋肉をフル回転、
年を経る毎に体幹がブレるのか、関節が柔軟でなくなるのか、平衡感覚が鈍るのか…
悲しいかなバランス感覚が悪くなるので心身をフル回転(笑)
特に背丈の低い女性やお子様、足の短い男性(笑)は岩の大きさと身体の大きさが不釣り合いとなり更に難儀している。
いうまでもなく、普段の山歩きより使う筋肉の種類が多い!?ので後日の筋肉痛はひどい。

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山頂は2,530m、
溶岩ドームの山頂で、想定外にだだっ広い岩塊が広がっている。
よく見ると中心部は少し凹んでいる、そこが火口だった。
それにしても広い〜
たった10万年前に火山の噴火があってドロドロと粘っこい溶岩はあふれていた、その規模の大きさが伺える。
そんな上にポツンと立つ、自分の小ささを実感する瞬間。
一等三角点にタッチ。

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展望は360度、まだ天気は崩れておらず、よく見える。
なんといっても、南側
眼前に見える南八ケ岳の展望が素晴らしい。
広義の八ケ岳連峰の最北がこの蓼科山なので、全貌を見渡すことができる。
南北39km、東西15kmの山脈と言っていいレベル、誰かが“東アルプス”ってのはどうって意見みた。
約50万年前から活動、600から700年前にも横岳で火山活動があった。
おおよそ1万年以内に活動した山を活火山(2003年気象庁再定義)と呼ぶので
横岳は活火山。

あえぎあげぎ、岩塊斜面を登り
10万年前の岩に座りながら、50万年前の火山と浸食と隆起の結果がこの連峰の かたち。
山頂部の凸凹や大好きな優美な山裾、
眺めているだけで飽きることはない。
この蓼科は人が住んでいた里から見える位置にある。
麓には蓼科神社があり、この山頂には奥社がある。古くより諏訪富士と呼ばれた優美な独立峰、歩いてみれば溶岩台地で人が近づくのも難しかったろう。
神様が宿るに違いなと思う。
まったりと展望を楽しんで、下山 登山口にある蓼科神社の鳥居をくぐってから、蓼科を振り返り、一礼した。

2019年9月29日[記]

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