御池岳 カルスト地形【1,147m】

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年に1回程度、企画される「山の会」の山行に参加した。総勢7名。
鈴鹿山地の最高峰、御池岳。2006年GWに登って以来、本当に久々。コグルミ谷から山頂、日本庭園を歩いて鈴北岳、靴掛峠へ降りるコース。
紅葉も終盤、登山口の駐車場は大賑わいで、なんとか2台に相乗りをして場所を確保。
紅葉と仲間との楽しい山行。
鈴鹿山地は南部が花崗岩の塊、竜ヶ岳辺りからだったか北部は石灰岩が主要な場所に露出する典型的な地形がみることができる。
岩がゴツゴツが花崗岩の山、山頂部がなだらかになっているのが石灰岩質の山・・・
御池岳は典型的な石灰岩質の山。

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コグルミ谷を登る。雪解けと新緑の間の頃にはたくさんの花が見ることができる。
カエデ類が多いので紅葉時も十分に楽しめるが・・・なにせ特徴的なのは石灰岩の谷ということ。
石灰岩は、硬いが水と化学反応を起こして微量に溶ける。割れ目から水か浸透して、涸沢を造ることがある。
おそらく水は伏流水となり、白い岩肌だけがゴツゴツと目立つ。
コグルミ谷を登りきるとなだらかになるが、山頂直下の谷には、また石灰岩の露出場所がある。
ここは、閉鎖された谷になっているのか太陽の日照時間が短いのか、岩が苔むしたいる。
まるで、コケの森。

山頂はなだらかで、冒頭の写真のように石灰岩が露出していて歩きにくいことこの上ない。
岩が露出して柱のような状態になっていることを「カレンフェルト」というらしい。
ドイツ語か!? 地形や地質の用語にドイツが多い。

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山頂から少し下ったところに「天狗の鼻」や「ボタンブチ」と呼ばれる崖っぷちがある。
崖は切れ落ち、上から覗くと高度感は半端ない。
地質図によると、ボタンブチは色変化の変わり目にある。
緑は玄武岩質(火山岩)の付加コンプレックス、黄色はおそらく砂岩が泥岩の付加コンプレックス。
火山の岩は当然堅いので崩れにくい、この崖はその地質の違いからできたことは明らか。
玄武岩質といいながらも、明らかに石灰岩も混じっているが、複雑に絡み合っているのだろう。
故にコンプレックス。 尚、地質図上の石灰岩質は水色。

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カススト地形には、たくさんの難しい名前がある。
名前は記号なので・・・他と区別するためにどうしても必要だが、ドイツ語は覚えにくい。
石灰岩が水に微量に溶解して、柱のようにぼこぼこしているのが「カレンフェルト」
石灰岩の大地に水がしみ込み、凹状になったものが「ドリーネ」
どのドリーネが連続しているのが「ウバーレ」
ドリーネが出来ているこいうことは下部の石灰岩も集まった水で溶かされて空洞になる。
それが鍾乳洞か・・・小学館さんありがとうございます。
鈴鹿の北部は石灰岩質だが、伊吹山の麓の関ヶ原には鍾乳洞があるな、確かに。

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ボタンブチから振り返る、なだらかな高原状の大地が続く。
御池岳がテーブルマウンテンと呼ばれる由縁。
よく見れば、左にカレンフェルト、丘の手前にゆるやかな凹地・・・きっとドリーネ。
御池岳から鈴北岳までも、日本庭園と呼ばれるなだらかな高原状のゆるやかな起伏が続く。
明らかにドリーネと思われる“不自然な窪地”から樹木が頑張って生えている。
池やドリーネが点在、地質図上は玄武岩質付加コンプレックス(緑色)だがここも石灰岩がたくさんあるに違いない。
歩いていても実に 興味深い。
石灰岩の溶解速度は、条件により大きく違うが秋吉台などは1万年で0.5〜0.6mというなんという時間!

この辺りの「郷土史」に「山上平坦ニシテ三十余池アリ」と紹介されており、御池なる山名も、このカルスト(池)にちなんだもの。らしい。
紅葉は一年の季節の移ろい、石灰岩は万年単位の時間の移ろいか・・・秋深い山歩き。
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2021年11月6日[登山] 11月7日[記]  11月12日[紅葉写真追加]

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