【山の湯たんぽ】

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■私版「山がくれた百のよろこび その1」■
2006年秋、思わぬ長い休日をとれる幸運に恵まれ、平日に北岳へ向った。
「今年は南アルプス デビューの年だ!」と自分で決めて、夏に仙丈ケ岳や甲斐駒へもいった年でもあります。

麓の山小屋「大河原山荘」で1泊、山頂近くの「肩の小屋」で1泊の山小屋連泊の山行だ。

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まともな山小屋に泊まるのは高校のワンゲルで乗鞍の位ヶ原山荘に泊まったとき以来、実に約30年ぶり、たのしみでたのしみで。
長野県側の戸台からバスに乗り、南アルプスの林道を奥深く、たのしい車掌さんの解説を聞きながら北沢峠へ。
ここで、さらに乗り換えて、広河原へ到着します。もう、南アの真っ只中です。
ちょっと小雨模様でちょっと肌寒い夕方でした。野呂川を渡ると、山荘です。



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うっそうとした森の中の山小屋。
うらにテントサイト、前に広場。風雪に耐えた木造の建物は風格があります。
宿泊者は8人、愛知からのご夫妻で仲良く山歩きを楽しまれているお二人、ひげぼうぼうぼうだがいつもにこにこしている山好きなおじさん、高松から元気なおじさん 塩見岳から今日雨の中を降りてきたおばさん、みな山好きな方ばかりだ。

ご主人も「このぐらいの人数が一番話しがはずむなあ」と言うとおり、山話はつきない。
年齢は皆さん60歳以上だろう、本当に皆さん元気だ。
特に元気だったのが、今日南アルプスを塩見岳から縦走してきた「おばさん」、年のころは70歳は超えていると思われる。
その上、ご本人いわく「左足の軟骨がなくて、びっこ引きながら歩いてきたのよ!」とのたまう。
なんとも、ほんとうに元気が歩いているようなものだ。

ここはワインのサービスが出る山梨県の山荘だ。ワインを飲みながら、ほろよい気分で語らっているうちに、そろそろ就寝の時間の9時が近くなる。
さんざん、たのしい話をした後に、年齢の話になり私が40歳代前半で、あることがわかると 一番元気なその“おばさん”が、「あなた若いわね、それじゃ湯たんぽがわりに、一緒に寝ましょう」とのたまう。
『ゆ、湯たんぽ!』「いやいや、わはは」と応えたものも、正直これほど戸惑ったことは初めてだ。
そのおば様にとって、私など洟垂れ小僧で、からかいのつもりでいっているのでしょうが、私には思にとっては「うれしはずかし(もの)」です。
不惑の四十を超えてなお、そんな冗談をいれれる対象になるんだと、驚くやら、うれしいやら、どぎまぎ、複雑な心境です。
その嫌味のない言い回し、ウイットにとんだ話ぶり、南アを縦走してきたと元気さ、くったくのないその様子。
山が好きなヒトは、山の中では、皆さんいい顔しているなと思う瞬間であります。

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翌日、快晴です。北岳【3,913m】に登りました。
天気はすばらしい秋空で、空気も澄んで、すごしやすく。山頂からの大展望を存分に楽しむこともできました。
山頂は、さわやかなほんとうにさわやかな秋の風が吹いていました。








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