亜熱帯の植生

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2017年GWは家族で石垣島を旅した。
八重山諸島は、遥か沖縄から400km南西、北緯は24度、台湾やカリブ海のバハマと同じ、亜熱帯のど真ん中。

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海やサンゴ礁の美しさは勿論だが、植物の旺盛な生命力を、圧倒的なボリュームで感じることができる。
緯度から来る太陽光線の近さによる温度、
暖流流れる海洋性気候からくる湿度と相まって、高温多湿な気候がそうさせる。
太陽を受け止めるでっかい葉っぱ、葉緑素がパンパンに詰まってそうな肉厚な葉っぱ・・・
これぞ亜熱帯の植生・・・

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<マングローブ>
この名前は植物の名前でなく、汽水域で生きる植物の総称。
西表島の森はマヤプシギ、ヤエヤマヒルギ、オヒルギとメヒルギが主な種で、
汽水域で生きるこれらの植物は呼吸をするのに独自の進化を遂げている。
生物の進化の不思議がわかりやすい。

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<オヒルギ>
呼吸根という特殊な機能が発達している。
オヒルギは地表面に屈曲して膝状に飛び出し、屈曲膝根というらしい。
干潮時でも呼吸できるように多くの根っこを出している。
写真ではわからないが、水は根が吸い上げ、塩分は葉っぱに集めて、落葉させることで対外に出すという離れ業をしている。

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<サキシマスオウノキ>
アオイ科の常緑高木 
板根を発達させる。これも呼吸を効率的にする為の進化の知恵か!?
特に写真の木は1982年に発見されたもので、樹齢400年、板根が3mの高さに及ぶ。
板!?は切り取って船の舵とかに使うほど。国の天然記念物。
この巨大さ、曲線の美しさは、特別だ。
発見が1982年というのが、この亜熱帯ジャングルの奥さを感じる。
まだまだこの森には未発見の巨木があるかもしれない。

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<黒島の森>
黒島の牧場を外れたところにある森の中。
うっそうと茂る亜熱帯の植物がトンネルを造り、GWにして30度近い気温があるこの場所も涼しげな場所となる。
この圧倒的な生命感がなんとも美しい!
足元の草から低木、高木まで、緑みどりしていて、太陽光を喜んで受けているって感じ、写真では伝わりません。
でっかい葉っぱの代表が、「クワズイモ」
イモに似ているのに、イモができないので、この名前があるらしい。
葉っぱは60cmにもなる大物です。 
雨の日の傘に間違いなくなります。
ここまでおおきになるには、目いっぱいの太陽光と栄養と水がいるはず。
まさにここは、そんな植物達が生育できる世界。

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<オオゴマダラ>
八重山のどこに行っても、この蝶々が優雅にひらめいています。
羽を広げれば13cmにもなる。
その飛び方と羽の模様が新聞紙が風に舞っているように見えることから、『新聞蝶』と呼ばれることもあるそうだ。(byウイキ)
この優雅な飛び方が、亜熱帯さを感じさせてくれる。
”八重山時間”という、せこせこしないゆったりと生きる…そんな優雅さ

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<リュウキュウアサギリマダラ>
これまた優雅に飛ぶ。
最初は長距離(2000km!)を本州と南西諸島を旅するアサギリマダラかと思ったが、南西諸島に分布する別種のリュウキュウアサギリマダラという名前の蝶々。
その他、真っ黄色、紫色、黒色などたくさんの蝶々を見ることができる。
植物が旺盛な地域は花もたくさん咲き、自然と蝶々の種類も多くなる。
当然の自然の成り行き。

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<カンムリワシ>
日本では八重山諸島にしかいない。
鳥綱タカ目タカ科カンムリワシ属、特別天然記念物。
この貴重な鳥をたまたま、樹上で見かけて写真を撮ることができた。
個体数は不明らしいが、おそらく数百頭レベル、貴重な鳥であることは間違いない。
もちろん猛禽類なので眼光鋭く、カッコよく、
でも、動きはゆっくりとしている気がする。

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この生命感あふれる動植物を眺めているだけで、こちらのエネルギーも上がっていくようなそんな気持ちにさせるエリア。
このエリアがあるから、熱帯や亜熱帯があるから植物が旺盛な呼吸活動をするから、動物は生きることが出来るだと体で体感できる。
すこし大げさだけど、ここなら、人は太陽と植物から(それを食べる動物から)エネルギーをもらい、活力ある生活が出来るだろう…
人が暖かいところに集まるのは、そんな人の本能がそうさせるのではないかと、納得できる旅でもあった。


2017年5月7日 [記]

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