【 カシオぺア座 】

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■私版「山がくれた百のよろこび」12 ■

 星と語らう 

標高1,659m ― 神坂峠で車を止め、ごそごぞと眠る準備をする。
毛布2枚、マットレス一つ。
後部座席を倒して、荷台を整えれば、十分に眠るスペースがあるはずだ。
目覚ましを耳元に、ヘッドライトをその傍に置こう。
よしよし、十分に眠れるな、これなら。予定通りだ。
車内灯を消して、防寒用のフリースを枕にして、横になる。

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おおっ!
リアガラスから外が見えるじゃないか、それも星が見えている。
目が慣れると、もっと見えるな・・・
どんどん、見えてきた。これは、所謂 “満天の星”だ。
そういえば、
大学時代に女の子を口説くネタ探しに、星座の勉強をしたな。
今は昔。
あの特徴的なW形はカシオペア座だ。
美貌の王妃が海神ポセイドンの怒りをかって、ぐるぐる北極星を回らされたんだっけ?
まだオリオン座は見えないな。あれはクジラ座だっけ?
ほかの星座はわからなくなっちゃたな。

今夜は一人だ。
横になりながら、最初はそんな事を考える。
静かに夜空を眺めていると心は落ち着く。
今見ているのは、何年何万年も前の光だ。自分が生まれる前の光。
何光年なんて、科学技術を駆使して計算してだけで、机上の空論してるだけじゃ!?
光は1秒で地球を七周半だって、それが一年かけて到達する距離ってどんなに遠い!?
理屈では分かっていてもなかなか信じられない。
実は神様か仏様がその辺りで、LEDをチカチカさせているだけじゃないか・・・・・・・・
そろそろ30分は経ったか、地球の自転速度を考えれば、あの星々は既に角度にして7度は動いたな。
星と星の間にも何万光年の距離があるわけで、こっちから見て7度変わるということは今見えている星座も微妙に形が変わっているはずだが・・・
そんなバカ空想も1人では寂しい。
そんな人智の及ばない神秘さが人の本能を揺さぶるのか。

あいつが横に居れば、もっとバカ理屈話が続くのに。
あいつが横に居れば、ロマンチックな夜になるのに。

2015年10月10日〈記〉


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