海を渡る蝶

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「海を渡る蝶」の名前を知ったのは去年・2016年夏、意識して「初めて」見たのが今年・2017年夏。

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それもそのはず、この蝶の不思議な生態調査が沖縄で始まったのが1960年代、個体のマーキング調査が始まったのが1980年代というから最近!?だ。
分かってきたのは、驚愕の事実。
この個体は冬を沖縄や台湾で過ごし、夏は本州の高山帯や北日本ですごすという「渡り」蝶らしい。
最長不倒は2500km! まさに海を渡る蝶々。
気温にして24度がお好み。さわやかな気温。信州の夏の高原レベル。
いままでも見てきたのだろうが、名前と生態を知ってから?初めて?見たのが2017年夏だった。蓼科の蝶々深山の麓だ。

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ひらひらふわふわ、てふてふ、ととても優雅に飛んでいる。
好物はキク科で、この高原にはヒヨドリソウがたくさんあるので、それに引き寄せられている。
蜜を吸うのは雄で、その蜜でフェロモンを作って、メスを引き付けるらしい…
それにしても、ここにはたくさん乱舞していた 秘密の花園とはここのことかと思うほど。

それにしても、なぜ 南国の蝶が本州まで海を渡ってくるのか? 道しるべは?
もちろん、生き抜くに良い環境を選んでくるわけだが、ほかに選択肢がないのか?
個体の寿命は4ヶ月程度、冬に生まれて夏に霧ヶ峰にいるとそこで一生が終わる!? 運が良くても1往復が限界か!?

なぜ、なぜ、は尽きることがない。

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この蝶の名前は「アサギマダラ」。
アサギは「浅葱」、青緑色の古称らしい。実物の色合いもたいへん美しい。

そうか、君たちは優雅にひらめいているが、何千キロもの大冒険をして生き残った個体なんだね。
ほっと一息つきながらも、花を蜜をすい、メスを追っかけ、子孫を残し…
本能で行動しているのか、意識して行動しているのか…
10cmの大柄な蝶々ではあるが、その体のどこにそんな体力と意志があるのか…

きっと、もっと驚く事実がこれから発見されるに違いない。


春から初夏の大分県姫島には集合する場所がある、1千頭が乱舞するという。
いつかその壮大で優雅な風景を見てみたい。

2017年8月18日 [記]

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