「語る」楽しさ

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子供さんに森の紹介をするのは苦手。
如何に興味を持ってもらうかが勝負、分かり易くたのしく語る必要があるし、長すぎると飽きる、短すぎると内容が伝わらない・・・難しい。
今回は、違った。お母さんと小学校の娘さんが二人。
場所は名古屋にある大高緑地、こもれびの小径。環境大学の共育講座の一環で、事前の内容を宣伝、「動けない植物の持つすごい仕組み」というテーマ。
植物に興味があるご家族だった。

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事前に楽しそうな絵も用意していた。
“森に入るとなんで気持ち良いのか?”“爽やかな整った空気を作るんだよ”とか、
“「森」と「林」の違いって知ってる?” 
“冬になると葉っぱが落ちる木があるけど・・・なぜかな?”とかとか・・・(笑)
そんな何かの準備は必要なく、事前の心配はまったく杞憂だった。

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彼女達は本当によく知っていた。そして、興味を持っていた。
「爽やかな整った空気」を更に説明しようと、難しい「光合成」という言葉を使ってしまった。
ところが小学校6年生の彼女は「光合成って言葉知っている。今度、習うやつだ」というほどに理解が早い。
太陽光と二酸化炭素から、必要な養分を作って「爽やかな整った空気」である酸素を吐き出すこと既に知っている。

「アカメガシワの新芽が赤いのは、葉緑素がしっかり機能する一人前の葉っぱになる前に太陽光から身を守る為なんだな〜」
「カクレミノ葉っぱは外側ほど、太陽光を集める為に分裂して広がるんだな〜」とか、あれやこれやと説明すると、
キラキラと目が輝いている。アニメのように少女の目から星が飛び出してきそう(笑)
「アオキは冬でも赤い実がなるのはなぜか」との問いかけに「冬に実がなる木は、少ないから」と正解を宣う。
お母さんも、目の付け所がたのしい。
“「笹とタケ」はなにが違うんですかね?”“この樹は楽しい。庭に植えます”とか。
タケノコが伸びて、青いタケになるべく茶色の皮が剥けだした若竹を見つけて、感動していたりする。
子供と一緒に、そこで記念写真を撮っている。いろんなことに興味を持つ方なのだ。*写真は仲間の水谷さんから頂く。
こちらも調子にのって、植物だけでなく「カタツムリの食事」や「鳥はなぜ囀るのか」とか話を広げる。

一緒に回ったくれた仲間(女性)も有難かった。子供の接し方や臨機応変な会話をしてくれて、場が盛り上がった。勉強にもなった。
チャノキの葉脈を「お父さんのSixPack」に例えてくれたのは、大当たり。

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「語る」楽しさを初めて体験した。
聞く側の興味と話す側の息がぴったりと合うというのはこういうことか!
“これからもイベントに参加したい、どうやったらその情報が分かりますか?”と聞かれ、会のホームぺージをお教えした。
最後に記念撮影まで希望していただき、そんなに楽しかったのかとこちらも感激。
冒頭に子供は苦手と書いたが、今回はそれは当てはまらなかった。
需要と供給が一致すれば、うまくいく・・・まるで経済原則そのものが当てはまることを再認識した。
課題は、その需要をどうやって掘り起こし、供給と一致させるかか。
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後日、全国森林インストラクター会主催「案内の極意」ついてのWeb研修会を拝見した。
やはり、「利き手」と「話し手」が共同で作り上げるのがポイント。OneWayではダメ。
ただ、
「利き手は案内人を選べない、案内人の技量に楽しさが左右される」、案内人の解決法は一つ「特異分野を熟得する事!どんな相手でも特異分野を織り交ぜれば解決の糸口が見つかる」との事だった。
万能の解決方法はない。 “特異分野に磨きをかけてどの世代にもわかる話し方を熟得する”・・・これだなと改めて思う。
私の場合は「植物の生存戦略」か「山の自然学」かな!? 
もう一つ、小学生や保育園児には「感覚的に訴える」のが良い。歴史や文化を語っても聞いてくれない。五感でアイスブレイク。
「この形はクチビルみたい、この匂いはグレープフルーツみたい」とあえて、“断定的に話す”と高い確率で聞き手は反応してくれる。そこから話が盛り上がるという。
その感覚的なネタもたくさん頂いた! なるほどね。
タイムリーな主題、含蓄ある助言。ちょうどの悩みが救われた思い。 
2021年6月20日[イベント日] 6月25日[記]

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