木材市場で国産材の研修

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「スギ」の丸太・・・大きさは大人が腕を回しても足りないぐらいの大口径、丸太と呼ぶには大きすぎる丸太!?が所狭しとならんでいる。
樹皮は確かに 山でよく見るスギ。こんな大きなスギの切口はそうそう見れない。心材が茶色で辺材が白いんだと初めて知った。教科書に出てきそうな切口。
年輪を数えたら120はあった。120年以上の大きなスギか。岐阜県産。

ここは、関東から西日本まで木材が集まって、木材問屋さんが売り買いする「東海木材相互市場」という愛知県の大口町にある木材の市場。
森林インストラクターの研修会で勉強させていただく、とても良い機会を得た。

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「ヒノキ」・・・そう桧・・・樹皮が縦に裂けてめくれてる具合がヒノキ。
これもまた大きい。やはり、大人一抱えはある。
切口が白い、これがスギと明らかに違う。
ヒノキ風呂の色、ヒノキの家具の色だ。なるほど、当たり前だが同じ色。
匂いもヒノキ、これも当たりまえ(笑)

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「ケヤキ」・・・ スギ・ヒノキと違って、広葉樹。成長が遅いので、緻密で重たくて堅い。
あまり用途を聞かないと思い、Wikipedeaで調べると
「木目が美しく、磨くと著しい光沢を生じる。堅くて摩耗に強いので、家具・建具等の指物に使われる。日本家屋の建築用材としても古くから多用され、神社仏閣などにも用いられた。ケヤキ材からは仏像も作られる。現在は高価となり、なかなか庶民の住宅には使えなくなっている。」とある。
ヒノキと同様に白い。年輪が見えない程に緻密だ。
内部に水分が抜けにくく、長年立つと曲がってくるらしい。材として乾燥させるにのが肝要とか。
こいつもまっすぐでなく微妙か曲線がある。なにに使われるのかな。

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「キハダ」・・・落葉広葉樹の割には木目もはっきりしている。
なにより有名なのは、黄色い肌が語源であるように、「黄柏(おうばく)」という生薬が取れる。
樹皮から、コルク質の樹皮を外皮をはがして乾燥されると生薬になるらしい。
外側に黄色い部分があるが、それだろうか。
山であまり見かけた記憶のない樹木だが、すごいコルク質。アベマキやクヌギの様。

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変ったところでは、「カヤ」・・・常緑針葉樹だが、生長は極めて遅く材は緻密になる。
確かに、針葉樹にあるまじき(笑)、年輪の密度の濃さ。白さが美しい。
香りも良く、この材も匂ってみたが、そこはかとなく良い香り・・・本当は匂いはしたが、あまりよく分からなかった(笑)
なんといっても、用途として有名なのは囲碁や将棋の盤。カヤ材が最高級とされる。
樹齢が古いほど珍重され、高級なものは300万や400万の囲碁盤があるらしい!!
よって、材の値段も囲碁盤や将棋盤がどれだけ取れるかで値段が決まるとか。
残念ながら写真のカヤは真ん中に穴があったり、外皮が内側に深くはいってきたりであまりたくさん取れそうにない。売れ残り!?だろうか。

写真にはないが、通し柱というスギの丸太もたくさん見た。半径8cm程度x6mの通し柱レベルだと35,000円/m3計算だと5,000円にも満たない!?驚きの価格。
そこからどうやって付加価値を上げていくかが勝負
となるようだ。
現場では、市場の取締役の方に、お話を伺った。
手短に歴史を教えていただく。 「戦前は100%が国産だった。伊勢湾台風前後から国内材は不足し、米材や南洋材が大量に輸入が始まった。
東南アジアでは禿山となり、北米のマツやツガ、ヒバなどは伐採禁止になってきた。
欧州材にシフトとなり、ホワイトウッドやレッドウッドと呼ばれる。最近ではロシアが原木輸出の禁止になった。
国は国産材に注力を始め、4年前に低層公共建築は国産材を利用、最近は公共もはずれ低層建物にも国産材を活用し始めている・・・」なるほど。
「この事務所も、天井はCLT(直行に重ねた合板)、壁は漆喰とスギ材、大きな梁は「拡張樹脂工法」という金属が表にでない最新技術・・・すべて国産材
梁の存在感が圧倒的! そんな最新の工法で作られているのか。
国産材“愛”を感じるご説明に引き込まれる。確かに木造建築は温かみと木目の美しさ、なにより色調が落ち着かせてくれる。
思い出せば、木造建築で感動したのは2017年に国際教養大学でみた秋田スギで作られた美しい図書館だった。きっと、これから国策に沿って、木造建築を目にする機会も増えることだろう。
いつか国内材に囲まれた家に住みたいなあ。
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2022年12月17日[記]

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