カルスト 勝峰山(かつぼやま)

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歩き始めはまっすぐな林道・・・めずらしい登山道。
昭和30年代までは、線路があったらしい。

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歩いた山は「勝峰山」、かつぼ山と読む。
グーグルマップでも右側(東側)が鉱山として採掘されている、地質図上もこのお山は石灰岩の山。
麓には太平洋セメントとその関連会社がある。線路跡は、この山で石灰岩を採掘してセメントにして、それを鉄道で運んでいた路線の名残り。

このお山、目的は登山ではなく、所属クラブの小泉先生講師で、石灰岩質の地形と地質の勉強会で歩いた。
新宿から乗り換えで約1時間、終着駅の武蔵五日市駅集合、いきなり「地質図」を渡されたりして・・・うれしい(笑)

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石灰岩の露頭、林道沿いにある。ばらばらと落ちている小石の角は表面がはがれて特徴ある白色が見える。
まさに、石灰岩。ついつい、手に取ってチョークのように絵を描きたくなる。
ドーバー海峡にあるチョーク海岸からきている、日本のあの「チョーク」の語源、日本語名は「白亜」といもいう・・・白亜紀の白亜 (Wikipedeaa)
名前の由来は、面白い。
地質と植生観点でいえば、「ナンテン」は石灰質を好むらしい。 中国原産だと思っていたが、日本自生説もある。
この地にあるのがどちらかは不明だが、確かに林道脇に多くを見かける。
庭木では、良く見るが、確かに山ではあまり見なかった。
これも面白い。

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ひとしきり歩いて展望台。
右奥の山が秩父帯の地層、天竺山。デイサイト(火成岩)なので山として残っているのだろうか?
手前足元が登り始めた日の出町、幸神神社と平井川が流れている。
約1500万年前は五日市湖という湖だった。日本海が出来始めた列島の黎明期。引っ張られて窪地になった処に水が溜まった。
平井川では、その礫層を見た。その時間の地質を見ることが出来る。
なにげない風景も、そんなことを思いながら眺めていると100倍楽しくなる。

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カルスト地形の代表核的地形「カレフェント」、石灰岩は水に触れると化学反応を起こして岩を溶かし、こんな独特の形になる。
鈴鹿の北半分は石灰岩の山なので、山頂部は樹木がなくこんな岩々をよく見かけるが、こんな山腹で見るのは初めて。
先生曰く、東京でカレフェントを見れるのはここだけだそうだ。

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「ノジュール」
おおたWebミュージアムによると、この種の『丸い石はノジュール(日本語では団塊)と呼ばれるもので、埋まったものではなく地層の一部が硬くなってできたものです。
ノジュールは堆積岩中にできることが多く、何らかの理由で地層中に特定の成分が集まって堆積物の粒子をくっつける働きをして生成されます。
ノジュールを作る成分は、炭酸カルシウム(方解石)や二酸化ケイ素(めのう、石英)の場合が多く、鉄の酸化物(黄鉄鉱)によって固まったものもみられます。』・・・だそうだ。
これも石灰岩が絡んでいるのだろうか!?
生物由来(石灰岩もそう)の岩石とも関係が深いらしく、よく化石も出てくる。この丸い石のかけている部分にも化石もあったのだろうか。
面白い・・・何度目の「面白い」だろう(笑)

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「ドリーネ」
『石灰岩地域に発達するすり鉢状の窪地(くぼち)。カルスト凹(おう)地形の一種。成因には、降雨による溶食の場合、地下の鍾乳洞(しょうにゅうどう)の拡大により地表が陥没してできる場合などがある。
平面は円形または楕円(だえん)形、直径は1メートル前後から100メートル以上に及ぶものまでさまざまである。』(ブリタニカ大百科事典)
こんな森の中に、突然現れるこの地形、100mとはいないが相当大きい。
樹木に覆われて、底が見えない。足跡が下に続いているので、さらに下にチャレンジしている人がいるようだが、そこまで勇気がない。
国土地理院のGlobeという機能にて3Dにしてみると、その窪地がそれとわかる。
地質と地形の楽しさが、とても分かりやすい石灰岩という地質。
実に面白い・・・5回目

歩いたのは林道だったが、この先は登山道となる。講座はここで終了だったのだが、皆さん山頂まで歩くという。
前日の新宿で宴会して睡眠不足の中、 もちろん山頂まで歩いた。

2023年6月10日【現地講座日】 6月11日[記]

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