軽井沢 野鳥の森 春

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NPO法人ピッキオのネイチャーツアーに妻と共に参加した。
今年は春の訪れが2週間ほど早く、オオヤマザクラが終わりヤマザクラも散り始めた。ハルニレやカラマツが芽吹きの季節、まだ新緑で森が緑に覆われる前・・・野鳥も恋の季節で野鳥観察にはベストシーズンらしい。
参加者は10人程度と少し多いが、久々のガイドツアー参加なので、特に野鳥の解説は聞きのがずまいと集中してお話を伺う。
前日まで雨だったが、この日は快晴。

そもそもこの森は、日本野鳥の会の創設者である中西悟堂さんが「野の鳥は野に」を標語に野鳥の保護に取り組んだ地。「野鳥」という言葉は中西氏が作り出した単語らしい。
現在は「国設 軽井沢野鳥の森」として環境省が管理しており、中西さんの精神が今も引き継がれている。(環境省セルフガイドマップ)
標高は1,000〜1,100m、森全体の面積は約100Ha、見ることが出来る種類は80種類もある!

観察前に配られたのが、このフィールドノートと筆記用具と「鳥の私生活」図鑑、そのセットを首からかけれる透明のファイル、オプションで双眼鏡・・・なるほどこれはいいな。参考になる。
このノートには観測版もつけてくれている。植物や哺乳類の話も聞いたが、鳥のさえずりと実物を見た場所を赤線で記入した。あとで見返すのにとても良い。
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小瀬林道沿いを歩くと巣箱があり、スズメ目シジュウカラ科ヤマガラ属ヤマガラの巣になっている。
留鳥で、裏山ではよく見かける。暖かい地方ほど生息数は多い。
なんといってもこのツアーの良いことろは、そんな巣箱の中をモニターで見ることが出来ること。
孵化した幼鳥が口を大きく開けて親鳥の餌(青虫)をねだったいる様子が、良く見える。親鳥が巣箱に入ると一斉に口を動かし始めるのはかわいい。
ほんの数m先に巣箱があったが、声は聞こえなかった。燕の巣のイメージで見ていたのだが、やはり野生だと天敵に習われないためか・・・
ガイドさん曰く、約18日で巣立つ、想像以上にめちゃくちゃ早い。
親鳥は交互に餌を運んでくる。シジュウカラだと10羽の幼鳥に両親で一日に500回も運んでくるらしい。すごい。
見慣れた鳥だったので、あまり興味がなかったが、そんな生きるための戦略を聞いていると、とても面白い。
さえずりは縄張りの主張もあるようだが、主目的はメスを求めて美しくさえずる。巣を作って子供を育てるに、そんな生きる知恵を目の前で解説されるととても引き込まれる。
そんな実物を見ながらのガイドはとても良い。

夏鳥のスズメ目サンショウクイ科サンショウクイ属サンショウクイが上空を飛びながら「ヒーリーリーリ」さえずる。「なかなかこずえにとまって観察できない鳥」だそうだ。

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キツツキ目キツツキ科アカゲラ属コゲラ、これも尾張の裏山で見かける。
が、枯れ木をつついてドラミングしている姿は見たことがあるが、これは巣を作っている。
鳴き声は「ギイー」という木がきしんだりドアを開けると音に似ている。アオゲラやアカゲラなどキツツキは美しい澄んださえずりの印象はない。

元来は山地性の鳥だったが、「1980年代から都市近郊でも身近になってきた」。
緑化が進み、「都市部でも緑が成長してきて、枯れ木や枯れ枝が増えてきたのかもしれない」(『鳥の私生活』)
でも、木をつつく音はかわいい。短く早く小さな音がやさしくかわいい。
でも、この写真、なぜに 上に既に空いている穴を使わず下側をあたらにつついているのは、不思議な姿。
10人が見つめる中、集中して木をほじくっていた。そこもまたかわいい。

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佐久森林管理センター 軽井沢森林官のレポートによると、
この森はカラマツ(人工林が92%)が過密となり、野鳥の生息すが減ってきたために、平成3年に地元の野鳥の会などから伐採要望が出た。
・カラマツの単位面積当たりの数を減らす ・草地を好む鳥の繁殖用に空地(オープンスペース)を作る ・下層の広葉樹を育て針広混合林を造成する
・多様な森林構成にするため針葉樹(ウラジロモミなど)を植え込む ・鳥の餌用に身のなる木を植え込む
そんなことを基本方針にして、森に手を入れた。一部の鳥に減少傾向があったものの、全体数は微増した。
平成10年(1998年)に第一次施業は完了していて、野鳥と人間が共生可能な「軽井沢野鳥の森」を後世に残していきたいと締めくくっている。
その後の第二次施業ネタはネットでは発見できなかったが、この春の様子見ている限りは森は豊かだ。

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ヒタキ科コサメビタキ、 夏鳥、高い枝に巣があるらしく、近くに姿を見せてくれなかった。
オスとメスが共同で横枝の上にお椀上の巣を作る。クモの糸で材料をからめウメノキゴケなどの地衣類を張り付ける。
鳥用の望遠鏡で見せてくださったが、どうみても木のコブにしか見えない。
ドングリ池で芽吹きが始まった木々の上部ばかりをみていたので頸が疲れる(笑)
カメラで撮影を試みるもうまくいかず、唯一取れたのがこの写真・・・枝から飛び出した瞬間・・・たぶんサメビタキ

長らく見ていたので、多くの鳥が上空を横切るが、スズメ目ヒタキ科キビタキ属キビタキは確認できた。鮮やかなオレンジ色い喉元が見えた。これも夏鳥。
空中で餌をとるらしい。どんな動体視力だろう。
暗い林の中で、運よく胸のオレンジ色が見えた時はドキッとするほど美しい」(『森の私生活』)

野鳥の縄張りの半径は知れている。ノジコは120mらしい。コゲラは300〜500m、小鳥の縄張りはそう広くない。
じっとその場で眺めていると同じ鳥を見ることが出来るということか。野鳥観察の方々がさえずりが聞こえるとその場にじっとして、カメラを構えるのはそいうことかと合点がいった。
ガイドについて野鳥の姿やさえずりを覚えようと思ってきたが、その生活の様子を見ていると、なぜそんな場所でそんな巣を作ってそんな泣き方をするのか、どうやって捕食をするのか・・・
知りたいことがどんどん増えてきた。 知らない扉をまた開けてしまった感じ(笑)

<ツキノワグマは雑食性、倒木のアリを食べたり、ウワミズザクラの実を食べに熊棚を作ったり>
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<アズマヒキガエルの卵は1万個以上、カエルになるのは一握り、そしてヤマカガシに丸のみされるものもいる 食物連鎖を目の当たり>
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<春の花々も新緑で森が覆いつくされる前に美しく咲き誇る>
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2023年5月1日[ツアー参加] 5月2日[記]

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