植物学の研究の場

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■小石川植物園■
正式名称:東京大学大学院理学系研究科 付属植物園


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2019年2月2日(土)、東京の小石川にある通称「小石川植物園」を歩いた。もちろん、植物の勉強の為です。
公園ではありません、植物学の研究・教育を目的とした東京大学の教育実習施設です。
日本最古、世界でも有数の歴史がある植物園。近代植物学、発祥の地。
1684年江戸幕府が設けた「小石川薬園」に源がある。

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面積は161,588m2(16万平米)で、台地、傾斜地、低地、泉水地など変化に富み、多様な植物配置となっている。
東京は暖地帯で、本来植物はシイノキ、ヤブツバキ、ヒサカキ、ヤブコウジ、ベニシダなど暖地性の植物の構成地で、
シイ林が破壊された後は、コナラ、アカメガシワ、ムラサキシキブ、ガマズミ、アズマネザサなどの二次林が傾斜地に残っている。
現在は、東アジアの高等植物を中心に収集・栽培を行っており、樹林内と林縁に合計約1,500(覗く園芸植物)がある。 出典:植物園ガイドマップ

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季節は真冬、咲いている花は少しでしたが、人も少なく ゆっくりと歩いた。 近所の年寄の朝の散歩の如し…400円もかかるので実際にはできません。
入口には「シナマンサク」(中国原産)、「マンサク」(日本原産)の仲間、マンサク属マンサク科。
マンサク種の中では一番大きな花、前年の枯葉が残ったまま咲くので見逃すこともあるよう、マンサクより少し早く咲く(1月〜)。
「先ず咲く」とも「満作」が由来とも言われるが、寒い冬にそうそうに鮮やかな黄色い特徴的な花を付けるので、みんなに愛される名前が付いてます。
欧州時代に、近くのお宅の庭に咲いているのは見て、寒い欧州で日本を思い出された花。

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本館の前には、大きな大きなヒマラヤスギ。でっかくて、堅果もでっかい、バラのように開いてました。
ヒマラヤ周辺の中央アジアの標高1100m〜1400m辺りに分布するらしい、世界三大公園樹。

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傾斜地には、自然林が残っている。ほとどん山道を思い起こさせる。
右の大きいのスダジイ、左にはクロガネモチ、足下はアオキ・・・
暖地性の植物
山地植物栽培場もあって立ち入り禁止エリアがあった。なにを育てているのか。

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分類表本園・・・植物が体系的に植えられている
まさに、研究用か

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サツキがならんでいる! さつき、その奥が九州南部にあるマルバサツキ・・・へェ
サツキ科は調べるとたくさん種類がある。園芸種が多く、好まれる花なんだなアということが良くわかる。
マルバサツキは九州薩摩半島からトカラ列島に自生するが、日本で園芸用に改良する母樹になっているらしい。
高砂、夕霧、石山・・・確かに葉っぱが丸いから選ばれたのだろうか

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この植物園の始まりである、薬園保存園
ほとんど花はないが、ヒトツバがあった。
消炎、止血、利尿・・・金華山にたくさんあった、内の裏山にも自生している。
葉っぱが一枚、突然に地面から生えているので、最初はびっくりした。薬草だったとは。
多くの人を抱える江戸では、人の命を救う薬草は大事だったに違いない、昔時代劇で見た小石川療養所もここにあった。
この辺りだと、伊吹山も麓に織田信長が作った薬草園があった。 

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大きな並木道もある菩提樹の並木
白い枝ぶりの目立った樹木は、スズカケノキ・スズカケノキ属:ヒマラヤからバルカン半島に自生、日本では公園、庭園、街路樹に植栽される。
明治9年に導入された日本でもっとむ古い木のひとつだそうだ。
こんな白い木を見た記憶はないが・・・今度、街路樹をチェックしよう。

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ツツジ園のそばに、カンザクラがあった。咲いている満開。
カンヒザクラ(石垣島)とオオシマザクラ(静岡〜千葉)の雑種と言われるが、名前の通り早咲きの桜。
ちっちゃくてかわいい。 これを目的にごっついカメラで写真を撮っているカメラマンがいました。

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園の北に隣接して、旧東京医学校本館(重要文化財)、今の総合研究博物館小石川分館が隣接しており、今でも学生がたくさんの本に囲まれて勉強をしていました。こんなのも良い。

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江戸幕府から始まり、東大に引き継がれ、研究が続けられているこの植物園。 確かに公園ではない、芝生公園も食事施設も娯楽ものはない。

大学設備を開放いただいているだけでもありがたいのだが・・・
願わくば、きっとあるだろう膨大な研究書やデータや最新研究情報なども、興味のある人々に開放いただれば、もっと現物と合わせて知識が深まり、うれしい。

2019年2月3日 [記]


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