恐竜滅亡は被子植物が犯人か!?

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大阪にいる兄は、薬剤師で、植物の研究者。現在は、お茶の葉の研究とそれに関連する開発をしている。
そんな兄と父の三回忌の帰りに、カレーうどんを食っていると、「お茶の葉を切るだろ、びっくりするほどのスピードで細胞が集まって傷口を塞ごうとする」「植物の葉っぱってすごいぞ」から始まって「恐竜の絶滅は被子植物の繁栄と関係している説がある」と言っていた。
普段は小難しい話ばかりする兄だが、”珍しく”興味深い会話だったので調べてみた(笑)

恐竜がいた時代は、約2億3千年前から6600万年前までに約1億6000万年間
地質学でいれば三畳紀とジュラ紀と白亜紀からなる中生代とほぼ一致する。
映画ジュラシックパークに代表されるジュラ紀!  
石垣島で巨大なシダ類であるヒカゲヘゴ(ヘゴ科)を見た時は恐竜が出てこないかと一瞬ビビった思い出もある。
そんなイメージの恐竜と植物の関係・・・

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恐竜は爬虫類だが、その前に両生類の時代がある。
魚類から足が生えて、皮膚呼吸や肺呼吸ができるようになる両生類は、約3億7千万年前のデボン紀の後半に出現する。
大型魚類が繁栄していた時代から、逃げるように陸上に上がってきたとか。
身体も大型で90Kgを超える種もいたそう、ただ水辺からはそう離れられない。卵は水中だし子供の時代はえら呼吸をしている。
中生代になると、爬虫類が出てくる。
特徴は「硬いウロコをまとい乾燥に耐えることができる」こと、「卵でかえった子供は親と同じ形で、生涯肺呼吸ができる」こと。
水辺から離れて、陸上で広範囲に活動ができるようになった。
爬虫類は大型化していく。
理由には諸説あるが、「植物が豊富だった」「大型の方が気候変動に耐えれた」「身体を守るために大型化した=小型化に失敗した」など。
そして、恐竜の時代がやってきた。

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ここで本題の植物との関係を見てみる。
植物は約4億7000年前にコケ類が陸上に進出してくる。それまでは20億年前から水中には藻類が繁殖していた。
それから約4億年前にとうとうシダ植物が現れる。続いて、約3億7000千万年前に「裸子植物」が現れる。
注目は、「エコノミストOnline」に記述させている京都大学名誉教授の鎌田先生による「二酸化炭素濃度」との関係表。
それらの植物の登場とタイミングを合わせるかのように、劇的に二酸化炭素の濃度が減った。
現在の10倍以上あった濃度が、10分の1程度に薄まっている。
光合成で自ら生きていけるシダや裸子植物は大量の二酸化炭素を吸収して、大繁栄したに違いない。
植物が増えると、草食動物が増える。草食動物が増えると肉食動物が増える。
爬虫類が大きくなり、大型の恐竜が増えるのはそんな理由があったのでは・・・と植物視点で見ることが出来る。
冒頭写真の石垣島のヒカゲヘゴも10mは優に超えるが、そんな時代の生き残りか。

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高くそびえるシダをみて、恐竜を思い浮かべるのはそんな絵がインプットされているからだろう。
恐竜時代の大きな変化点は、約1億4000万年前の「被子植物」の登場となる。
それまでは、主に風媒花を主力として花粉をはこび雌蕊にたどり着くという自然まかせの繁殖方法から、昆虫や小動物をパートナーとして花粉を運ばせる方法へと大変革が起こる。
花という生殖器官は受精してからタネを作り、子孫を残すという期間も圧倒的に短くなり、世代のサイクルが短くなった。
世代交代は速いという事は、変化への対応も早くなることにつながる。
そして、受精を手助けをしてくれる動物は「蜜」や「香り」で誘い歓迎するが、害をもたらす動物には「毒」で対抗するようになる。
代表が「アルカロイド」という物質。動物による摂食が菌類の腐朽から防ぐらしい。
哺乳類の我々には「苦い」と感じるアレ。爬虫類には、その味覚はない。

当時の恐竜が食べていたシダや裸子植物にはアルカロイドの生成機能がなかったので、動物側も発達しなかったか!?
有名な三本角のトリケラトプスは恐竜時代の末期を飾った小型の草食恐竜だが、苦いというとう味覚はなく、食べ続けていると死に至った・・・
このシナリオが「恐竜の絶滅は花を持った被子植物が犯人だ」説。

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恐竜絶滅の原因説は「ユカタン半島に巨大隕石が落下して急激に気候が変動した」が最も有力。
ただ、植物好きとしては、被子植物説は捨てがたい!

太古より、植物は自ら栄養を作れるが動物はそれが出来ない。すべての動物は植物なしでは生きていけない。
進化は植物が先行している、陸への上陸、乾燥への対応、繁殖サイクルの短縮・・・動物は栄養源である植物の変化に合わせて来たに違いない。
被子植物は花という効率的な繁殖方法に到達し、パートナーに昆虫を選んだ、お陰で動物の中で昆虫は数において最大種となっている。
その進化や変化についてこれない動物は、たとえ恐竜であろうが「絶滅する」可能性があるということ。
写真は、被子植物でもモクレン科「シデコブシ」という原始的な花の生き残り種。
美しい花は昆虫を魅了するためにあるのだが、人類も同じように「美しいから愛でよう」と思うのはなぜだろう。
もしや、恐竜絶命を目の当たりにして我々の祖先であるネズミが組み込んだ仕掛け、種の繁栄のための本能なのかもしれない。

2024年3月17日[記]

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